貧しくて、冷蔵庫にはキャラメル1個…大ヒット「ひだまりの詩」歌う62歳の波乱万丈

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元「Le Couple」藤田恵美インタビュー第2回

 元「Le Couple」の藤田恵美(62)は実は子役出身。6歳で劇団ひまわりに入り、人気ドラマ「ケンちゃん」シリーズにも出演した。中学1年生で演歌歌手としてデビューするも中学3年で引退。やがて出会ったのは、アメリカの風を感じるカントリー。波乱も転機も味わい尽くした少女は、その後「ひだまりの詩」という国民的ヒットを放ち、今も歌い続けている。(全4回の第2回)

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――芸歴56年。6歳で劇団ひまわりに入り、子役としてデビューされました。当時はどんな気持ちだったんですか。

 劇団に入れたのは父です。私はすごく引っ込み思案で、人前に出ることに全然憧れはなかったんです。普通の幼稚園児でいたかったし。知り合いの子が劇団に入っていて、「何々ちゃんみたいになれるよ」って言われても、「あんなことしたくないなあ」って(笑)。でも、親の言うことは絶対でしたから、やるしかなかったんです。責任感だけで続けていましたね。

――お父さんはどうして熱心だったのですか。

 洋服関係の仕事をしていた父は大正生まれで戦争にも行っていて、本当は芸事が好きだったのに、祖父が厳しくて「医学部に行け」と言われ、夢を果たせなかったそうです。戦後はダンスなどもやりましたが、病気で2年間寝たきりになったこともありました。だからこそ、自分の夢を私に託したんだと思います。

「一人っ子で、しかも自分が40歳の時の子だから、親が早く死んだ時に手に職があった方がいい」って、よく言っていましたね。

――ご家庭の事情もあったようですね。

 小1の時に両親が離婚して、私は父に引き取られました。父は「子供が小さいうちは留守にできない」と思って、家で近所の人から注文を受けて洋服を作っていました。でもそれだけでは生活が成り立たなくて、母が毎月養育費を送ってくれて、それでなんとかやっていました。

 とても貧しくて、冷蔵庫にキャラメル1箱しかない時もありました。テレビでは派手な格好をして歌っていても、家に帰ればそんな状態で、不安な気持ちでいましたね。

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