夏に温泉と一緒に訪れるのに最適な城 上田城、丸岡城、松本城…では1位は

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江戸時代に近い城の景色と日本三古湯

 いよいよ第1位です。松山城(愛媛県松山市)を挙げます。本丸は標高132メートルの山頂にありますが、ゴンドラかリフトで登れるので、猛暑でも苦はありません。松山城にも現存12天守のひとつがあります。天明4年(1784)に落雷で焼失後、安政元年(1854)に再建された、現存するなかでは一番新しい天守ですが、基本的に慶長年間(1596~1615)の創建時の意匠を踏襲しているようです。

 天守だけではありません。重要文化財21棟のほか、伝統工法による木造で復元された建造物群が建ち並び、江戸時代に近い景観が広がります。風通しがいい本丸や、3重3階の天守の最上階からは、瀬戸内海も眺められます。

 また、本丸内の売店と食堂を兼ねた「城山荘」は、食事も甘味も城の敷地内の店としては破格の味だと思います。とくにここの「伊予感かき氷」より美味しいかき氷は、個人的には想像できません。これが食べられるだけでも、夏に訪れる価値があります。

 そして近くには、日本三古湯のひとつで、万葉集にも歌われている道後温泉があるのがうれしいです。明治時代に建てられた有名な道後温泉本館は、大規模な保存修理工事が昨年夏に終わっています。道後温泉の至近距離には、街中の中世城郭としては異例なほどよく残る湯築城もあり(日本100名城のひとつです)、城と湯を幾重にも楽しめます。

香原斗志(かはら・とし)
音楽評論家・歴史評論家。神奈川県出身。早稲田大学教育学部社会科地理歴史専修卒業。著書に『カラー版 東京で見つける江戸』『教養としての日本の城』(ともに平凡社新書)。音楽、美術、建築などヨーロッパ文化にも精通し、オペラを中心としたクラシック音楽の評論活動も行っている。関連する著書に『イタリア・オペラを疑え!』(アルテスパブリッシング)など。

デイリー新潮編集部

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