夏に温泉と一緒に訪れるのに最適な城 上田城、丸岡城、松本城…では1位は
箱根温泉も城とセットで楽しめる
第6位は丸岡城(福井県坂井市)。現存12天守のひとつがあります。以前は現存最古と信じられていましたが、近年の学術調査で、寛永3年(1626)以降に建てられたことがわかりました。しかし、2重3階の小さな天守は、初期の天守に通じる望楼型の古風な外観が魅力で、屋根には寒冷地の越前(福井県北東部)ならではの石瓦が葺かれているなど、この城にしかない特徴も多いです。
昭和23年(1948)の福井地震では、天守台の石垣もろとも倒壊しましたが、幸い、その数年前に行われた解体修理の詳細な記録が残っていて、もとの部材を極力使って再建されました。そんな不屈の城はいま国宝指定をめざしていて、それを勝ちとるためにも、城山の整備が進められようとしています。
城山は麓からは簡単に登ることができ、歩く距離が少ない点も、夏に訪れるのに適しています。丸岡城からバスで十数分のところには福井県屈指の温泉街、芦原温泉(福井県あわら市)があります。含塩化土類食塩泉で、温泉療法医が勧める名湯百選にも選ばれています。
第5位には山中城(静岡県三島市)を挙げます。永禄年間(1558~70)に小田原の北条氏康が築いたとされ、天正18年(1590)の豊臣秀吉の小田原征伐で、7万の軍政に攻められて落城しました。
この城は昭和48年(1973)からの発掘調査で、畝堀や障子堀の存在が明らかになり、それらが見事に復元整備されていて見応えがあります。畝堀とは、堀を仕切る土手状の畝を掘り残した空堀で、障子堀とは、いくつもの畝を掘り残し、堀のなかをベルギーワッフルのように細かく区画した堀です。昔は堀がもっと深く、斜面は滑りやすい関東ローム層が露出していたので、堀に落ちた敵は容易に登れないまま撃たれる、という仕組みでした。
山中城は静岡県に属しますが、箱根峠(神奈川県箱根町)から三島方向に少し下ったところにあるので、日本有数の温泉地である箱根温泉は目と鼻の距離。箱根は泉質もさまざまで、山中城で歴史探索をしたのち箱根温泉でリラックスというのは、魅力のコースです。
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