「女の子がひとりでいるのを見た瞬間、今なら“盗める”と思った」 幼女4人の命を奪った「宮崎勤」が被害者宅に送りつけた「遺骨入りの段ボール箱」

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進められた極秘捜査の

 ただ、この時点で警察サイドに何も動きがないわけではなかった。埼玉県警は、Cちゃんの遺体発見現場周辺で、有力な情報を聞きこんでいた。さらに、上述の通り「都道府県の垣根を越えた」捜査活動も極秘で進行していた。その詳細は、「デイリー新潮」2024年9月8日配信の「【連続幼女誘拐殺人事件から35年】八王子ナンバーの『黒いプレリュード』、『カローラII』…宮崎勤の逮捕まで分からなかった『車』を巡る捜査秘話」に詳しいが、埼玉県警はカローラII、警視庁は黒いプレリュードを犯人に結び付く、有力な不審車両として所有者の割り出しを行っていたのである。

「警視庁(管内)で似たような事件が起きたら、すぐに逮捕できますよね?」

 警視庁捜査第一課幹部はこのころ、顔見知りの記者にこう聞かれた。暗に埼玉県警の捜査経験を下に見ているかのような発言に、その場は冗談としてやり過ごしたが、その後、「今田勇子」から新しいアクションはなく、地道な捜査を継続することを余儀なくされる。

 昭和最後の年に起こった、わが国犯罪史上でも例のない、残忍非道で社会的影響の大きい重要凶悪事件――埼玉県警は重圧を感じながらも、情報を潰す捜査を続ける中で、宮崎死刑囚はピタリと動きを止める。事件が大々的に報じられたこともあり、警察のパトロールが強化されるだけでなく、自治会など地域を挙げた対策などが推進されたことも影響したのだろう。

 だが、この手の犯罪は止めることはない。埼玉がダメなら――宮崎死刑囚はよりによって東京(警視庁管内)へ、犯行の手を伸ばすのである。

【第2回は「連続幼女誘拐殺人事件『宮崎勤』を追い詰めた“執念の捜査”…シリアルキラーの車から見つかった『決定的な証拠』とは」稀代の殺人鬼を追いつめる警察捜査の実態

デイリー新潮編集部

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