17歳の少女の衣類をはぎ取り…「若いきれいな女」ばかりを狙った鬼畜「小平義雄」が死刑の直前に口にした「意外な言葉」
戦後の混乱期、国民は極度に欠乏した食料事情の中で、その日を生き延びるために最小限の食料を確保するのに躍起になっていた。食料や仕事を得るためには、藁にもすがりたいという心理的弱点に付け入り、甘言を用いて女性に残虐な行為を重ねていた小平義雄。警視庁の捜査の結果、想像もしない結果が判明することになる。（全2回の第2回）
【写真】戦後の混乱期に起こった極悪事件…10人の女性を乱暴・殺害した鬼畜の全貌
あだ名は「助平」
昭和20年8月6日に行方不明になったA子さん（17）が、その日に会う予定になっていた「小平義雄」について、警視庁捜査第一課は各署に所在捜査を指示した。
〈渋谷区羽沢町に同姓同名の男が妻子とともに居住していることが判明した。また、同人は年齢42歳で、高浜町の米軍兵舎内の雑役夫をしており、しかも殺人及び窃盗の前科があるばかりか、勤め先の同僚の間では「助平」とあだ名されて、女癖の悪いことで定評の男であった〉（警察庁の資料より）
小平は栃木県日光町出身。小学校卒業後、工員見習いなどをしながら19歳で志願して海軍横須賀海兵団に入隊した。昭和2～3年の山東出兵に海軍陸戦隊員として参加している。同4年には戦功で勲八等旭日章を受け、三等機関兵曹で除隊した。
〈（昭和）七年に神官の娘と結婚するが、四カ月で逃げられたため妻の実家に押し入り、その父親を鉄棒で殴殺、六人を傷害。これで懲役十五年の刑を受けた。二度の恩赦のおかげで十五年に仮出所し、十九年に二度目の結婚〉（『昭和史全記録』毎日新聞社刊より）
事件当時の小平は、港区の海軍経理学校跡地にあった米軍の洗濯工場に勤務していた。「元主計中尉」はウソだが、進駐軍関係で働いているというのは本当だった。この男は絶対に何かを知っている――捜査員が小平の自宅を訪ねたのは、昭和21年8月19日だった。
捜査本部のある愛宕署で調べを受けた小平は当初「A子さんとは会っていない。何も知らない」などと容疑を否認。しかし、小平の自宅での家宅捜索から押収した一本の洋傘はA子さんのものであり、その事実を突きつけると、観念したのか容疑を認め、自供を始めた。
「給金のよい高浜町の米軍兵舎の洗濯所雑役婦に世話すると欺き安心させ、8月6日午前9時30分に顔を見せに行くからと言って、品川駅東口に呼び出し、（A子さんの）地理不案内をいいことに芝公園内に誘い込み、乱暴の上絞殺し、着ていた衣類をはぎ取り死体を笹薮に運んで捨て、着衣とパナマ製ハンドバッグほか4点を奪った」（本人の供述）
捜査本部は、A子さんの遺体の近くで発見された白骨死体も小平が関わっていると確信したが、こちらは身元が判明しない。そこで、類似事案の検討から始めることになった。
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