1日11時間の猛勉強で「クイズ番組」に臨む元フィギュア日本代表「高橋成美」… 「悔しさから全てが始まると思っているんです」

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 スケートペアの元日本代表で、2014年のソチ五輪に出場した高橋成美(たかはしなるみ=33=)氏は、競技生活を続けながらも難関校の渋谷幕張高校を経て、慶應大学に進学した才女として知られている。競技引退後は、フィギュアスケートの普及に尽力しながら、タレントとしてもさまざまな新しい挑戦をし続ける高橋成美氏に、挑戦を続ける理由やモチベーションの管理術について伺った(全3回中の第3回)。

アイスホッケーへの挑戦で、未練を断ち切れた

 フィギュアスケートのペアとして、2012年には世界選手権で銅メダルを獲得。2014年のソチ五輪出場を果たした高橋氏だったが、さらなる飛躍を目指して臨んだ平昌五輪では、国内の選考で力及ばず。本大会の出場権を掴むことはできなかった。そして、補欠として登録されていた平昌大会が閉幕した2018年3月、高橋氏は引退を決断する。

「出場を目標としていた大会がテレビで流れていると、自ずと虚しさが込み上げてくることもありましたが、引退を決める頃にはしっかり自分の気持ちを切り替えられていて、スケートから卒業したような清々しさを感じられるようになっていました」

 同年4月には、長らく休学が続いていた慶應大学総合政策部への復学と、昭和大学の女子アイスホッケー部「ブルーウィンズ」への入団を決意する。

 特に「ずっと挑戦したいと思っていた」と話すアイスホッケーへの挑戦は、傷心の高橋氏が再び前を向くきっかけになったそう。

「アイスホッケーに出会ったおかげで、五輪に出られなかった挫折や、フィギュアスケートへの未練を断ち切ることができたと思います。一生懸命ホッケーに取り組んでいると、いつの間にかフィギュアスケートへの未練はなくなっていて。アイスホッケーとの出会いが、私にとっても良い転機だったのかなと感じています」

モチベーションさえあれば、外国語は身に付く

 学校に復学して2年後の2020年3月には、フィギュアスケートで海外を転戦する中で疑問に感じていた「国ごとに異なる感情表現が人間の個性や行動に及ぼす影響」というテーマで卒論を書き上げ、慶應大学を卒業。

「日本語を話している時の私は幼く見えるのに、中国語を話すと『何となく大人びているように見えるんじゃないかな?』と日頃から感じていて。話している言語によって、なぜ皆さんに与える印象や、雰囲気が変わるのかを調べながら論文にまとめました。コロナ禍の影響により、予定していた実験が出来なかった部分もありましたけど、楽しく研究に取り組めたのではないかと思っています」

 言語学の論文を書き上げて学生生活にピリオドを打った高橋氏は、日本語、英語、中国語を軸に、計7ヶ国語を操る才女としても知られている。

「私の場合は『フィギュアスケートを上達させたい』という思いが、語学を学ぶモチベーションになっていました」

 そのように話す高橋氏は、語学習得の秘訣についてこう続けた。

「どんな人もモチベーションさえあれば、語学は絶対に身に付けられると思っています。私の場合は、幸運なことに『スケートが上手くなりたい』という目的があり、周囲の方とコミュニケーションを取るために言語を学ぶ必要がありました。勉強が続かずに悩んでいる方は、習得したい言葉を話せる友人や恋人を作ってみたり、言葉を話せる環境に身を置いたりした方が、上達が早いのではないかと思います」

 これまでの経験を交えながら、気持ちの充実が習得に向けた一番の近道であると私見を述べた。

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