「あなたの奥さんに会ってみたい」年下の不倫女子は闘る気マンマン… 3年沼った48歳夫に残ったもの

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【前後編の後編/前編を読む】「不妊治療から逃げたいんでしょ」妻に見透かされて鬱 48歳夫は“悪酔いの夜”で一線を超えた

 藤乗雄一郎さん(48歳・仮名=以下同)は、3年にわたり不倫に「沼った」経験の持ち主。29歳の時に結婚した当初は、パワハラ上司と不妊治療に熱心な妻に挟まれ逃げ場を失っていたが、元カノとの“ふんわりとした浮気”でなんとかやりすごして心の均衡を保っていた。その後、30代半ばで職場の先輩と共に独立したことが転機となって、娘にも恵まれ夫婦関係も改善。穏やかな生活が続くと思われたのだが――。

 ***

 3年と少し前、彼はリカさんに出会った。仕事で取り引きのある大手企業の社員で帰国子女、若いけどなかなかのやり手らしいと仲間が情報を仕入れてきた。大手企業と取り引きできるのは会社の発展につながる。この仕事だけは何としても成功させなければと、雄一郎さんたちは張り切った。

「初対面の印象は最悪でしたよ。僕たちを下に見ているのが歴然としていて。あなたたちに仕事を降ろしてもいいけど、金銭的なやりとり以外に、何かうちが得をすることはありますかと平然と言っちゃうような女性だった」

 それでも突っ込んで話してみると、仕事には熱心だった。最初に「かまして」相手を抑え込むのが彼女のやり方だったようだ。

「相手がどういう態度に出るのか、自分と一緒に仕事に取り組んでいけそうか。そういうことを試すタイプだったんでしょうね。その後は打てば響く感じで、仕事がうまく進んでいきました」

「気になっていました」

 あるときリカさんと上司、雄一郎さんと共同代表の先輩とで食事をする機会があった。上司は「別の仕事があって」と途中退席、その後、先輩も「ごめん、今日は子どもの誕生日で」と抜けていった。

「僕はふたりきりで話すのはちょっと気詰まりだったんですが、彼女はホッとしたような笑みを浮かべていました。『あの上司、苦手なんですよね。すぐエラそうな態度をとるから』って。その言い方が妙に正直でおもしろかったので、『あなただって、最初にずいぶん僕らを脅しましたよね』と言ったら、『その節は申し訳ありませんでした』と。どうやら僕らのような零細企業と関わるのを上司は反対していたそうで。でも彼女は僕らの前職の先輩と実は知り合いで、『あのふたりがやっている会社はいい仕事をする』と言われたんですって。早く言ってくださいよという話なんですが……。彼女はそれでも信用できなくて、いろいろ揺さぶりをかけたんだそうです。『藤乗さんのことは、仕事もプライベートも気になっていました』と単刀直入に言われてドキッとしました」

 リカさんは当時、30歳になったばかり。一回り以上、年下の女性に気になっていると言われ、雄一郎さんは「下心」がむくむくとわき起こってくるのを感じたという。

「男ってしょうもない生き物ですよね。ただ、実際の行動に出るなんて大それたまねをするつもりはありませんでした」

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