「あなたの奥さんに会ってみたい」年下の不倫女子は闘る気マンマン… 3年沼った48歳夫に残ったもの

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リカさんの過酷な子供時代

 彼は防衛策として、さりげなく家庭の話に触れた。リカさんは「家庭かあ。私なんて、家庭って何ですかというようなところで育ってますからね」と口を歪めた。

「彼女が物心ついたときには両親は離婚、それぞれ不倫をしていたらしく、再婚していった。彼女は父方の祖母が育ててくれたものの、何かあると『あの嫁に似てきた』と意地悪された。それでも祖母は好きだったし、祖母しかいなかった。だけどその祖母も彼女が中学生のときに病死。父の弟の家で暮らすようになったが、家事と幼い子どもたちのめんどうを見させられ、学校を休むこともあったそうです」

 そんな過酷な子ども時代を送ったものの、がんばって公立高校に入学すると図抜けた成績を残すようになった。もったいないから国立大学を目指してはどうかと教師に言われたが、彼女は家庭環境を訴えた。

「『私は現実的だったから、のちのち世のため人のためになるような人間になりたいけど、今の状況ではむずかしい。どうにかひとりで大学に行くことはできないかと教師にせつせつと語ったんです』と彼女は言っていました。その結果、どこかの篤志家がお金を出してくれたとか。なんとなく嘘っぽい話なんですが、彼女が言うと本当に聞こえる。額面通りに受け取ってはいけないと、頭の中で赤信号が点滅し、下心がすっと消えていきました」

あっけなく…

 彼女は少し酔って、『私、藤乗さんが好き』としなだれかかってきた。下心がまたふくらんでいく。

「家庭が……と言ったら、『家庭なんか壊してやりたい』と激しい口調で言いました。僕もつい『壊せるものなら壊してみろよ』と言ってました。彼女はそれを聞いてニヤッと笑ったんです」

 男の威勢のいい言い分は当てにならない。彼はその日、酔い潰され、気づいたら彼女の部屋にいた。あっけなく彼女が勝ったわけだ。

「あげくのしかかられて、ありとあらゆるテクニックを使われて……。本当に僕は世間を知らなかった。女は怖い。そう思いました。そう思ったのに、彼女から誘われるとうれしくて、尻尾を振って駆け出していってしまう」

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