「あなたの奥さんに会ってみたい」年下の不倫女子は闘る気マンマン… 3年沼った48歳夫に残ったもの

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沼にハマるまで

 胃袋とベッドの二段構えで、彼は完全に籠絡された。彼女の料理は玄人はだしでおいしかったし、ベッドテクニックもまた「普通の女性」とは思えなかった。そしてなにより、一回り年下の女性が「雄一郎さんが好き、大好き」と飛びついてくるのだ。自分が何をしても彼女なら許してくれると、彼は万能感に包まれた。

「彼女の顔を見るとうれしい、それが仕事への自信につながっていく。共同代表の先輩にも、『最近、アグレッシブに仕事してるなあ』と言われました。先輩も負けてられないと張り切り、それが会社全体を前向きにした。5人の会社なんですが、あとの3人もなんだかやる気満々になって」

 最近、仕事がおもしろくなってきたと妻に言うと、妻も喜んでくれた。独立したかいがあったわね、反対してごめんねと言われ、妻の素直さをうれしく思った。それなのに婚外でつきあうリカさんには、さらなる奔放さを期待してしまっていた。

「リカはグズグズしたところがないんですよ。たとえば土曜日にデートしようという話になったら、『じゃあ、うちに来て』と。ふたりでいちゃいちゃしたあと、『何がしたい?』と聞くからうーんと考えていると、『ビリヤードに行こう』と急に言い出す。ビリヤードや麻雀なども彼女に教えてもらいました。何か楽器ができるかと聞かれて、昔、ギターを少しかじったことがあると言ったら、貸しスタジオを予約してくれた。彼女はピアノがうまいんですが、なんと独学だという。ギターとピアノだけでふたりだけの演奏会をしたこともありました」

 ただ、彼女は運動が苦手だった。ボウリングは彼が教えた。負けず嫌いの彼女はその後、練習に通い詰め、2ヶ月後には彼よりうまくなっていた。そういう彼女に新鮮さを感じ、興味が尽きなくなり、彼は徐々に沼にはまりこんでいった。

「彼女はいつでも、『大好き、大好き』と言うんです。そこまで人に好きだと言われることなんて、僕の人生にはありませんでした。ボウリングをしているとき、僕のズボンのファスナーを開けて手を入れてきたこともある。少し弄んだあと、さらっと投げてストライクをとる。僕なんか、動転してガーターです。それを見て笑っている彼女が、なんとも魅力的で……」

積極的に「工作」に協力するリカさん

 そしてどんなに遅くなっても、リカさんは彼を叩き起こして帰した。たまたま家が車で15分くらいだったため、終電を逃してもタクシーで帰ることはできた。

「仕事が忙しいと言って、こういう本をリビングあたりに置いておいたほうがいいと彼女はビジネス書をよく貸してくれました。不倫の言い訳を常に用意してくれていた。男の立場をわかった女性が、妻という女性を騙すための細工をしてくれる。これはなかなかバレないだろうなと思っていました」

 その予想が当たり、3年近く、激しい恋は激しいまま続いていた。一方で、雄一郎さんは近所や知人からは「いい夫、いい父」と言われていた。あるとき、リカさんに「雄一郎さん、完全に二重人格よね」と言われ、自分でもはたと気づいて恐ろしくなった。

「オレはそんな男じゃないはずなのにと思わず言ったら、『あら、あなたはそういう男よ。穏やかな家庭を持ちながら、私とこーんなことしてるんだもの。どっちが好き? どっちもないと生きていけないでしょ』と暗示をかけるように言われた。じわじわと彼女に侵蝕されていく気がしました」

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