家が火事で全焼した「メンタルどん底家無し野郎」の心を救った出来事とは？ 書店員芸人・カモシダせぶんが明かす
「どの本が一番読みたくなったか」を競う大会
現役の書店員でありながら、芸人としても活動するカモシダせぶんさん。そんな彼が「あの日に私の歴史が動いた」と語るのは、ビブリオバトルの全国学生大会。憧れの作家たちと、学生たちを前にしたときのことで……。
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皆さんはビブリオバトル、というゲームを知っているだろうか。ざっくり言うと、数名が自分たちの好きな本を持ち寄って、順番に5分間プレゼンをする。そのプレゼンを聞いた人たちで「どの本が一番読みたくなったか」を投票し、順位が決まるゲームだ。
私は芸人をやりつつ、趣味の読書を生かして書店でも働く「書店員芸人」というお笑いの業界でもかなり珍妙な肩書で活動している。その珍妙さを見つけてくれた偉い人が、このビブリオバトルの全国学生大会、決勝大会のMCに私を指名してくれている。非常にありがたい。珍妙冥利。
学生大会と聞いて侮ってはいけない。決勝大会は大学の講堂やホールを使い、何百人もの観客を入れて行われるのだ。規模もデカいし、そこで堂々とプレゼンする学生さんたちもすごい。僕の初舞台なんて観客3人、その前でもネタを飛ばしていたのに……。
家が火事で全焼し、「メンタルどん底家無し野郎」に
5年以上、このMCをやらせてもらっているが、特に印象に残っている、というか私の人生をも変えた回がある。2020年1月の高校大会だ。毎回、決勝大会には作家さんがゲストでご登壇され、その中に私が大好きな辻村深月先生が……。実はこの日の1カ月前、私の家が火事で全焼し、メンタルどん底家無し野郎と化していたのだが、辻村先生とお会いできてだいぶ心が回復できた。ただ初対面のごあいさつの後すぐに辻村先生から「火事、大丈夫ですか……？」と心配のお言葉をいただいてしまったのは、マジで申し訳なかった……。
この日の模様はYouTubeで【第6回全国高等学校ビブリオバトル決勝大会】と検索すると出てくるので是非見てほしい。いらっしゃっていた作家さんは辻村先生の他にも岡崎琢磨先生、降田天先生、丸山正樹先生と豪華布陣。
ただ主役はもちろん学生たちの熱いプレゼンだ。読みたくさせるという目的のためなら、設定で驚かせる、感動させる、泣かせる、笑わせるなど、やり方は自由なので見ている方もワクワクする。この日の打ち上げで優勝を逃した大阪代表の子が「地方予選はもっとウケたのに……東京だとウケ方違う」とお笑い賞レースに参加している芸人と全く同じ嘆き方をしていて笑ってしまった。
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