カズオ・イシグロ氏が“記憶”に魅了される理由 「遠い山なみの光」映画化を受けて語った記憶と歴史、そして「壊れやすく、得難い平和」
2017年のノーベル文学賞を受賞した日系英国人作家カズオ・イシグロ氏。9月に公開される映画「遠い山なみの光」は、イシグロ氏が1982年に出版したデビュー長編小説の映画化作品だ。
イシグロ氏のルーツでもある長崎を舞台に描かれるのは、第二次世界大戦と原爆投下という経験に苦しみながらも、自身の未来を力強く選び取ってゆく二人の女性「悦子」(広瀬すず)と「佐知子」(二階堂ふみ)。その生き方が戦後80年のこのタイミングに投げかけるのは、個人と社会が選び取る「記憶」の問題だ。...

