「中国は日本のレーダーの電子情報を調べている」 中国製ドローンの“侵入”の狙いとは 

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「台湾どころではないのでは」という見方も

 さらに台湾の統一を目指す習近平国家主席(72)には、訓練をどうしても急ぎ実施したい事情があるという。

「近年、中国軍の中心である中央軍事委員会内で、汚職摘発などにより処分者が続出しています。彼らは習主席の腹心、あるいは主席が抜てきしたとされる軍人たちです。これまで習主席は軍の汚職や腐敗と闘う姿勢をアピールしてきましたが、その刃が身内に向かっている格好です」(同)

 もちろん国内外からは「政権内のことで手いっぱい、台湾どころではないのでは」との見方も出てくる。

「例えば23年夏には中国ロケット軍の上層部が汚職疑惑で解任されましたが、昨年44年ぶりに西太平洋でのICBM(大陸間弾道ミサイル)訓練に踏み切りました。今回も台湾侵攻が可能であると顕示するために、訓練を行った側面があるといえます。ただ訓練が遂行できたとしても、国家存亡に関わる台湾有事に今の政権の状況で一致団結して臨めるかというと、疑問が残ります」(同)

 アピールやけん制に余念のない中国だが、遠く太平洋上のみでそれを行っているわけではない。日本の近海にも、不気味な影が飛来しているというのだ。

「こちらは有人機が対応しており労力が見合わない」

「台湾に近い宮古島や与那国島、尖閣諸島の付近では、中国軍のものとみられる無人機(ドローン)が頻繁に確認されています。防衛省によれば、こういった無人機に対するスクランブル(緊急)発進の数は、23年度で8回、24年度で23回と激増しています」(防衛省担当記者)

 さる現役自衛官は、こうした中国機に憤っている。

「向こうは無人なのにもかかわらず、こちらは有人機が対応しており労力が見合いません。それに宮古島や与那国島は那覇基地から約300~500キロも離れており、燃料もかかります。那覇では事情を知らない中国人観光客がスクランブル発進する戦闘機をうれしそうに眺めているなんて光景もありますが、皮肉過ぎて笑えません」

 また、こんなウラ事情も明かす。

「現在のスクランブル発進はF-15という戦闘機で対応していますが、これからだんだんと最新のF-35に置き換わる予定です。この新型機は格段に電子化されており高性能な反面、エンジンの始動から発進まで時間がかかります。飛ぶ前にチェックする項目が多く、ヘルメットやスーツも特殊で着たまま待機できない。このペースで中国がドローンの数を増やし続ければ、いずれ現場が疲弊してしまうのではと心配です」(同)

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