継母に似た女性と結婚し、継母に抱いた想いで不倫する… 恋愛迷路から抜け出せない42歳夫が知った“まさかの真実”

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【前後編の後編/前編を読む】中3で父が失踪、2人で暮らす「血のつながらない母」が初恋だった 42歳男性の“歪んだ結婚観”

 伊丹良輔さん(42歳・仮名=以下同)は、2度の結婚を経て、「大事な人」ができてしまった現在の己を恥じている。母に死なれ、再婚した父は行方をくらましたことで、血の繋がらない継母と2人で少年時代を送った彼は、いつしか継母に恋心を抱くように。それを断つように大学生でひとり暮らしを始め、その後「贖罪」のようにして連れ子のいる年上女性と結婚する。だが彼女との相性は悪く、1度目の結婚生活は5年ほどで崩壊した。

 ***

 2度目の結婚は、離婚から6年がたった35歳のころだ。相手は仕事で知り合った他社の真梨恵さん。仕事ができる彼女に魅せられ、つきあってもいないのに結婚を申し込んだ。

「運命を感じたんです。この人に出会うために生まれてきたと思った。今思えば、顔が継母に似ていたような気がします」

 実はその直前、継母は再婚していた。再婚してから報告があったのだが、良輔さんは自分でも思いのほか気持ちが落ち込んだ。自分の中に継母への恋愛感情といってもいい気持ちが残っていたのが不思議だし、怖かった。その反動で、継母に似た人にプロポーズしてしまったのかもしれないと、彼も今ではうっすら感じているそうだ。

「真梨恵は4歳年下で、仕事に情熱を燃やしているところだったので、最初は断られたんです。でもとにかくきみと人生を歩みたいと熱烈に口説いて……。すぐに了解してもらえなかったから、よけい意地になったのかもしれませんが、なんだかわからないけど、とにかくこの人と結婚しなければという思いが強かった」

 シングルでいるよりずっと幸せな時間が増えると彼は言い続け、やっと真梨恵さんからOKの返事をもらった。なんとも一方的ではあるが、「とにかく結婚してしまえばなんとかなる」と思っていたそうだ。

「でもなんともならないものですね」

「結婚してから関係が築ける」と思っていたが

 そう言って彼は笑った。婚姻届を出して同居を始めたものの、最初のルール作りでふたりとも疲弊してしまったという。家事の分担、お互いにどこまで干渉しあうのか、子どもはもうけるのか……。ちゃんとつきあってもいないから、味の好みや生活習慣まで、あらゆることに違いがあり、すりあわせていくのが大変だった。途中で彼女が「別に通常の結婚生活を送りたいとは思っていない」と言い出した。

「とにかく今は仕事を最優先したいと。彼女はひとり暮らしだったけど、ほぼ外食だったそうで、家事も適当だった。だから家事はほぼ僕がやることになりました。平日は一緒に食事をとるかどうかという問題を考えたくないというので、じゃあ週末だけで、という感じで僕が全面的に折れました。まあ、シングルでいるより幸せになると言った以上、僕は何の主張もできなかった」

 結婚してから恋ができると彼は思っていた。よく知らないままに結婚したのだから、これからゆっくりふたりで時間を過ごしていきたい、と。もちろん彼女が仕事に集中したいのはわかっていたが、それでも「僕を好きだから結婚してくれたはず」と思っていたのだ。

「でも彼女はそう思ってはいなかったみたい。嫌いでないから結婚した、家事全部やってくれると言っていたし、干渉はしないとも言ったと。干渉はしないけど、話をしたい。お互い寄り添う関係になりたかった。結婚ってそういうものじゃないですか? まあ、僕自身、機能不全的な家庭で育ったから、これが王道というのもわからなかったけど。彼女はごく普通の家庭で育っていると思っていたので、彼女の家庭観を重視していこうと思っていたんですよ」

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