継母に似た女性と結婚し、継母に抱いた想いで不倫する… 恋愛迷路から抜け出せない42歳夫が知った“まさかの真実”

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妻は妻で「まさか」の発言が…

 自分が由美さんに溺れた理由がわかり、良輔さんは納得すると同時に怖くなった。由美さんは「いつかバレると思ったし、バレたほうがいいかもと思ってた。結局、私もあなたを恨むことなんてできなかった。惹かれてしまったんだもの。邪な気持ちで近づいてごめんなさい」と頭を下げた。

 なんともいえない複雑な感情が去来して、良輔さんはその日は由美さんといろいろな話をした。そうだ、こうやって自分の来し方を誰かにじっくり話してみたかった、相手のことも知りたかった。それが妻である真梨恵さんとできないのだから、自分がこういう時間をもってもしかたがないと、良輔さんは自分を正当化することに成功したという。

 だが同時に思い出したのは、最初の妻の連れ子だった。彼女ももう成人しているはず、どんな大人になったのだろうと考えると、自分がとてつもない悪い人間に思えてきた。若気の至りだったが、そこに幼い子がからむと自分自身に重なってきて息苦しくなることもある。

 由美さんにも、前の結婚のことは話せていない。彼の心の傷になっているのだろう。それ以外のことは由美さんにはほとんど話し、関係は今も続いている。ただ、つい先日、同居人と化している妻から、「仕事の基盤が固まった。過去のことも乗り越えられた気がする。これから子どもを産みたい」と突然、言われた。

「そんなことを言われても、今から子育てしたら子どもが20歳のときに僕は60歳を越えてしまう。無理じゃないかなあ、それに38歳の真梨恵がすぐに妊娠できるとも思えないしと遠回しな言い方をしたら、『大丈夫よ、私の体は妊娠可能なの。もう検査もしたから。人工授精しましょ』って。これからはいい夫婦になれると思うと言われて、身勝手だなあと思ったけど、僕にはいろいろ負い目があるから冷たくもできなくて……」

 良輔さんは悩み、苦しんでいる。身から出た錆だと言ってしまうのは簡単だが、彼の複雑だった人生を思うと、とてもそうは思えなかった。

 ***

 一貫して「継母」の影響から逃れられない良輔さんの半生……。最初の結婚も、継母への「贖罪」の気持ちからだった。さらに言えば、彼は亡き母を重ねている部分もある。【記事前編】で彼の幼少時代について詳しく紹介している。

亀山早苗(かめやま・さなえ)
フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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