「日本の潜在力を解き放つべき」 マイク・ポンぺオ元国務長官が明かす「トランプ大統領の真意」

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日本と韓国が防衛力を強化する重要性

 私はかつて、台湾を自由で独立した国家として公式に認めるべきだと考える、数少ない共和党議員の一人だった。今でもその立場にブレはない。むしろアメリカの正式な政策として掲げるべきだと思う。

 1970年代に築かれた曖昧政策は、もはや現代の情勢にそぐわない。われわれが70年代の髪形をしていないのと同様に、安全保障政策も今こそ時代に合わせてアップデートしなければならない。

 トランプ政権下で、アメリカの北東アジアへの関与が後退するのではないかという懸念がたびたび聞かれる。しかし実際には、そのような行動を裏付ける証拠は全く存在しない。むしろ現在もなお、トランプ大統領はアメリカの250年以上の歴史の中でも特に北東アジアに大きな戦略的影響をもたらす国防法案(5月22日に下院を通過)を主導しており、私はその成立を強く支持している。

 バイデン政権が、QUAD(Quadrilateral Security Dialogue、日米豪印戦略対話)や米日韓の3国協力を通じて推進してきた取り組みについて、私は一定の評価をしている。

 これらの地域的枠組みを最大限に活用し、同盟国との共同訓練や作戦連携をさらに強化していくことが不可欠だ。アジアのパートナー、特に日本と韓国が自国の防衛力強化に継続的に投資し続けることは、抑止力の維持と地域の安定にとって極めて重要である。

 日本は、中国の封じ込め、北朝鮮の核抑止、そしてウクライナ戦争の調停という、極めて重要な役割を担っている。

 ワシントンが北東アジアの同盟国に対して圧力をかけているのは、米国の責任放棄だという誤解をしてはならない。重要なのは、日本のような同盟国が自国の防衛能力と産業基盤を強化できるよう支援することにある。

 日本はすでに、高度な任務を遂行可能な優れた自衛隊を保有し、防衛産業も驚くほどハイテクだ。しかし長年にわたる国内規制により、その能力は封印され、運用の幅や国際的な競争力は限定されてきた。

 トランプ大統領の2期目は、こうした官僚的・法的制約を打破し、日本の戦略的潜在力を解き放つまたとない機会となることを望んでいる。

関税政策は何が目的か

 トランプ大統領は、2国間の貿易不均衡が米国経済に深刻な悪影響を及ぼしていると考え、その是正に真剣に取り組んでいる。多くの国が依然として関税障壁や非関税措置を維持し、米国製品の市場参入を阻んでいる現状を問題視しているのだ。

 米国が交渉で求めるのは、真に互恵的な関係である。つまり、他国が米国市場に自由に参入できるのと同様に、米国製品も対等に他国市場へアクセスできる環境を実現すること。

 最終的な目標は、中国の拡張的野心を封じ込めることであり、これこそが米国の通商・安全保障戦略における最優先課題である。

 その観点から、中国の経済的な圧力に直面している日本や韓国といった主要同盟国と、積極的かつ建設的な対話を重ねていく姿勢を示していると考えている。

 一部からは、アメリカが反抗的な中国に対してすでに尻尾を巻いたのではないかという批判もある。しかし、私はその見方は不正確だと考える。

 実際、トランプ政権下で中国に課された関税は従来と比べて飛躍的に引き上げられ、多くの輸出規制も依然として厳格に維持されている。

 中国へのメッセージは明確だ。中国共産党が知的財産を盗み、不公正なダンピングで米国市場を侵害し、国際経済秩序をゆがめる行為を、一切容認しないということである。

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