「日本の潜在力を解き放つべき」 マイク・ポンぺオ元国務長官が明かす「トランプ大統領の真意」
究極的にはロシアの指導者の交代が不可欠だが……
もちろん、課題は山積している。なかでもウクライナ戦争は、依然として悪化の一途をたどっており、プーチンが紛争の継続を得策と見なしているのは明らかだ。
第1次トランプ政権(2017~2021年)当時、アメリカはプーチンを抑止するために全力を尽くしていた。そのときのことはいまでも鮮明に記憶している。
歴史は多くの教訓を与える。プーチンはオバマ政権下でクリミアを占領し、バイデン政権下ではさらにウクライナ領土を奪取した。しかし、トランプ政権の4年間には一歩たりとも踏み込めなかった。これこそ、私たちが取り戻すべき抑止力の姿である。
この戦争の終結後にプーチンが突如として姿勢を変えると期待するのは、幻想に過ぎない。彼は一貫して自らを「大ロシア」の皇帝と位置付け、その野望の実現に執着し続けている。
しかしながら、現在よりも武力衝突を制約し、民間人の犠牲を最小限にとどめたうえで、より安定したヨーロッパの境界線を構築することは十分に可能だと考えている。
究極的にはロシアの指導者の交代が不可欠であろうが、それまでは、西側諸国が自国の安全保障を確保するための備えを怠ることは許されない。
第1次トランプ政権期に国際社会が安定していた理由
では、いかにしてそれを成し遂げるのか。この問いに対しても、歴史は貴重な示唆を与えてくれる。
第1次トランプ政権期、国際社会は今よりはるかに安定していた。世界は、トランプ大統領が最も困難な課題に対しても決して退かず、アメリカの国益を第一に行動するリーダーであることを認識していたからだ。
今後も、欧州の同盟国がより大きな責任を果たしつつ、アメリカと緊密に連携し、ウクライナが勝利を手にするために必要な訓練と支援を一貫して提供していくべきである。
もちろん、ウクライナ支援に懐疑的なトランプ支持者が、アメリカ国内や議会の中に一定数存在することは承知している。だが、キーウや欧州諸国が求めているのは米軍の派遣ではなく、あくまで軍備や資金といった物質的支援だ。われわれには、それを十分に提供できる能力と余力がある。
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