「日本の潜在力を解き放つべき」 マイク・ポンぺオ元国務長官が明かす「トランプ大統領の真意」
世界中がトランプ大統領に振り回されている。次々と繰り出される政策は、譲れないものなのか、観測気球なのか、あるいはただの思い付きか、まるで見分けがつかない。彼はいったいどんな世界を作ろうとしているのか。大統領の「真意」を第1次政権側近が解説する。【取材・構成:吉田賢司/ジャーナリスト】
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〈4月29日、ドナルド・トランプ米大統領は、2度目のホワイトハウス入りから100日目を迎えた。
アメリカの政治において、大統領就任後の「最初の100日」は、単なる時間的区切りではなく、その指導力や政治手腕、今後の政権運営方針を見極める重要な象徴として位置付けられている。とりわけ、政権発足直後は、野党も批判を控える傾向があり、核心的政策を迅速に展開しやすい時期ともされる。
トランプ氏もこの好機を逃さなかった。再登板早々、前例のないスピードで内外の諸政策を打ち出した。政策は、南西部国境の安全保障や連邦補助金の削減といった国内課題にとどまらず、高関税の導入、ロシア・ウクライナ戦争の終結構想、中東地域への積極介入など、多岐にわたる。
中でも、いわゆる文化戦争や移民政策の分野では、一定の成果を挙げたとの評価もある。一方で、東ヨーロッパ情勢への対応や対中包囲網の構築といった国際戦略面では、依然として目に見える成果に乏しく、膠着(こうちゃく)状態が続いているのが実情だ。
果たしてトランプ政権は、有権者から託された本懐であるMAGA(Make America Great Again)を遂げることができるのか――。
今回、第1次トランプ政権でCIA長官と国務長官を務めたマイク・ポンぺオ氏(61)に独占インタビューを行った。長年にわたりアメリカ外交及び安全保障政策の中核を担い、現在はアメリカのコロンビア大学で教鞭を執る彼が語った、第2次トランプ政権の展望――。〉
真剣かつ責任感あるリーダー
近頃、トランプ政権の2期目をどう評価するかよく聞かれる。そのたびに、昨年11月にアメリカ国民が投じた一票一票が、わが国の進路を大きく方向転換させたと答えている。随分前のことのように感じられるかもしれないが、それはここ数カ月間、実に多くのことが起こったからだ。
トランプ大統領は公約を着実に実行に移し、その結果、国境管理はこれまで以上に厳格なものとなっている。これは単なる不法越境の阻止ではなく、アメリカの主権を守るという国家的意思の表れである。
移民問題といった重大な争点にとどまらず、経済と生活に直結する政策においても、アメリカにはいま、真剣かつ責任感あるリーダーがいる。
国内で目に見える変化が起きている。アメリカの諸機関に深く根を張っていた極左思想からの脱却が進み、国のかたちを「常識に根ざした社会」へと戻そうとする取り組みが始まった。これは、アメリカ国民が自らのアイデンティティーを再確認する過程だ。
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