“汚染された土地のワインなんか飲めるか” 心無い言葉にもくじけず…福島の除染ゴミ置き場がブドウ畑に大変身! 「大きく変わった景色も味わってほしい」
福島県富岡町に広がる青々としたブドウ畑。9年前、この場所には原発事故の除染作業で発生した、いわゆる“除染ゴミ”が山積みになっていた――。
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【比較写真】山積みの除染ゴミ置き場が「ブドウ畑」に! 驚きのビフォーアフターを見る
400本の苗木から
「あの場所が、こうなるなんて、誰も想像しなかったでしょうね」
5月17日、富岡町に「とみおかワイナリー」がオープンした。感慨深げにこう語るのは、代表の遠藤秀文さん(53)だ。
「9年前は、除染作業で出る廃棄物を詰めたフレコンバッグの仮置き場でした。撤去後に安全性を確認した上で新しく土を入れ、苗木を植えていったんです」
富岡町に生まれた遠藤さんは大学卒業後、東京の大手建設関連会社に就職した。海外のODA事業に関わる中でブドウ畑に触れる機会が多く、故郷をワインで活性化したいとの思いを強くする。2007年、35歳で地元の建設関連会社に移り、構想を膨らませた。
そんなとき、東日本大震災が起きた。自宅を津波で流され、原発事故で一時、全町避難を強いられた。除染が進み、事態が落ち着き出すのは5年後の16年。その年の春、有志10人と放射線量の安全性に問題のない高台にブドウの苗木約400本を植えた。実ったのは19年秋と遅かったが、手応えを感じ、翌年以降、フレコンバッグの仮置き場だった土地などに拡大。面積は約7ヘクタール、ブドウの木は1万6000本に増えた。
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