「私がいなくなったら、警察に『オウムの仕業』と言って」 最後まで妹を守り亡くなった假谷清志さん監禁致死事件 記者が語る捜査機関の“負の連鎖”
「もし私がいなくなったら……」
実は假谷さんは事件前、身の危険を感じ同年輩の果物屋の主人に、
「もし私がいなくなったら、この名刺を持って警察に行き『オウムの仕業だから』と言って私を探すようにお願いしてくれ」
と託していた。この主人が、假谷さんが帰宅する姿を見て後を追いかけたところ、車に押し込まれる現場を目撃、すぐに警察に通報していたのだ。
通報を受け警視庁大崎警察署は直ちに假谷さんの行方を捜索する。しかしオウムの世田谷と杉並の道場に捜査員が行くが信者から門前払いを食う。このままではダメだと判断し、警視庁捜査1課へ臨場要請をした。管理官が直ちに臨場し、即日捜査1課特殊班を中心とした捜査本部が設置される。
その後の捜査で、目撃情報から、拉致した車が練馬ナンバーのレンタカーで、紺と白のツートンカラーの三菱デリカだったことが判明する。レンタカー会社に行くと犯行に使われたとみられる車を発見。後部座席の赤っぽいシミが血痕と判明し、假谷さんの血液型とも一致した。
しかし借主のAという人物は実在するものの、いくら調べてもオウムとの接点が見つからず捜査は再び壁にぶちあたる――。
第2回【「実行犯から遺体の場所が明かされたのに発見できず」 坂本弁護士一家事件、神奈川県警の深刻な捜査ミス 「“坂本は借金を抱えて失踪”と誤情報を報道機関にリーク」】では、難航した假谷さん事件の捜査が進展し、初めて事件とオウム真理教の関係が明らかになった瞬間、そして坂本弁護士一家事件での捜査機関の落ち度などについて詳しく報じる。
[4/4ページ]

