大作映画を「圧巻の2時間!」と褒めるのはアリかナシか…校閲者が「自分の言語感覚」よりも大事にする“根拠”とは

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校閲者が気づくべきこととは

 そもそも、「言葉が、本来の使われ方をしていないこと」に目くじらを立てるのは校閲者の本来の仕事ではないと私は考えています。

 もちろん、厳密な言語運用が求められる媒体や状況もありますが、実際にはもっと気づかねばならないことがたくさんあるのです。と、偉そうなことを書けば書くほど、自分の仕事にブーメランとして跳ね返ってくるわけですが……。

 今回は「圧巻」と「返す刀」だけで字数をオーバーしてしまいました。まさに忸怩たる思いです。類例はまだまだたくさんあるので、そのうち続編を書こうと思います。

甲谷允人(こうや・まさと Masato Kouya)
1987年、北海道増毛町生まれ。札幌北高校、東京大学文学部倫理学科卒業。朝日新聞東京本社販売局を経て、2011年新潮社入社。校閲部員として月刊誌や単行本、新書等を担当し、現在は週刊誌の校閲を担当。新潮社「本の学校」オンライン講座講師も務める。

デイリー新潮編集部

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