「なぜ商業路線の映画に出るのですか」…「釣りバカ日誌」で人気を博した「三國連太郎」は「緒形拳」の問いにどう答えたか
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妥協のない姿勢から生まれる迫真の演技
俳優の三國連太郎さんといえば、60代から演じた映画「釣りバカ日誌」シリーズのスーさん役を覚えている向きは多いだろう。08年には息子でおなじ俳優の佐藤浩市との共演CMが話題を呼ぶなど、今で言う「イケオジ」の元祖的存在といえる。だが実は、16歳で家を飛び出し放浪したときから、人生は波乱の連続だった。
2013年4月14日の死去後、「週刊新潮」は生前の三國さんを知る関係者に取材を敢行し、その生涯を追った。第2回では、共演者が恐怖を覚えるほど役にのめり込んだ様子や、太地喜和子さんとの熱愛、緒形拳さんが疑問を抱いた「釣りバカ」への出演などについて秘話を明かす。
(全2回の第2回:「週刊新潮」2013年5月2・9日号「狂気の役者バカ 『三國連太郎』伝」をもとに再構成しました。敬称一部略)
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役のために歯を何本も抜いて
中でも最も有名な「三國伝説」は、57年に公開された家城巳代治監督の「異母兄弟」出演に際してのエピソードである。
「相手役の田中絹代さんが三國さんより年上で、自身が演じる役も実年齢よりも高い老け役ということで、自分の歯を何本も抜いてしまったのです」(白井氏)
また、その翌年に公開された今井正監督の「夜の鼓」でも、後々まで語り継がれる「伝説」が生まれた。
「あの映画での私の役柄は姦通をした女性で、夫役の三國さんからそれを叱責され、殴られるシーンがありました。そのシーンのテストの時から三國さんは本気で殴ってきたのです」
そう振り返るのは、女優の有馬稲子さんである。
「彼は私をブン殴り、その度に『ゴメンゴメン、次は気をつけるから』と言うのですが、次のテストでまた本気で殴ってくる。本番が始まるまでに少なくとも20回は殴られたと思います」
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