「実はオートロック付きマンションが狙われる」 トクリュウ強盗の意外なウラ側 元留置場看守が“犯罪者目線”で解説
主な侵入経路は「窓」
泥棒の侵入経路として最も多い場所をご存じだろうか。答えは「窓」だ。では、どんな対策が効果的なのか。まずは「防犯面格子」や「防犯シャッター」の導入である。窓の外側に設置するもので、大きな音をたてずに破壊することはほぼ不可能だ。分かりやすい対策であり、空き巣の主な侵入経路を遮断するという意味では最強の対策といえる。
最近は強度を増した製品も登場し、防犯性能は高まっている。ところが、シャッターは入居者が外出時に閉め忘れてしまうと、効果は望めない。しっかりと習慣をつけることが肝要なのだ。
防犯面格子は浴室やトイレなどの小窓に設置するもので、費用は1カ所あたり数万円から15万円ほど。防犯シャッターは雨戸の代わりにもなるが、1カ所あたり工事費込みで10万円前後の費用がかかる。
これらは見た目の圧迫感も無視できず、とくに防犯面格子は堅牢なイメージで、外観的には住人が“鉄格子付きの部屋に住んでいる”ような印象を与えることがあるほどだ。あくまで見た目の話ではあるが、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)を損ねるからと、敬遠する方がいるかもしれない。
強く推奨するのは「防犯フィルム」
次に「防犯ガラス」だ。サッシに取り付ける窓ガラス自体を強化する方法で、2枚のガラスの間に強化樹脂が入ったものを使用する。見た目は普通のガラスと変わらず、視界も妨げない。強度もランクが選択可能で、普段は住人が不在の別荘や夜間人口の少ない地域や場所ではとくに有効だ。大きさや強度にもよるが、リビングのサッシ用でだいたい1枚30万円。戸建てでもマンションでも、すべての窓ガラスを交換するには100万円~200万円と、相応の費用が必要になる点がネックだ。
さらに「防犯フィルム」もある。既存の窓ガラスに貼り付けて強度を上げるもので、1枚当たり5万円ほどと防犯ガラスよりも低コストだが、家中の窓ガラスに貼るなら20万円から40万円ほどは必要になると思われる。フィルムの厚みによって強度は異なるものの、一般的な集合住宅なら十分な防犯効果が得られるだろう。
意外なメリットとしては、室内側に貼ることから、地震などでガラス窓が割れた場合に飛散を防止する効果も期待できる。自宅では裸足という生活スタイルが多い日本人の住環境に適しているといえよう。また、紫外線のカット効果によって床や畳の日焼けもある程度は防止できる。
最後に「ガラスセンサー」をご紹介したい。振動やガラスを割る時の衝撃音に反応して警報を鳴らすものだ。数千円から1万円ほどと比較的安価だ。が、強風で窓が揺れただけで警報が鳴るなど、誤作動の可能性があり、対策の決定版とまではいえないのが難点だ。
ここまで縷々解説してきたが、私は後半で挙げた防犯フィルムを強く推奨する。費用対効果が高く、複数のメリットを併せ持つからだ。一般住宅には過剰でもなく不足でもない、最適な防犯対策といえる。
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