「隼ジェット」はレトロモダンをイメージした 佐野元春が新作を徹底的に語る【インタビュー・前編】

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 佐野元春が現在69歳。そう聞いて感慨にふける人は、自らの年齢を思い出し、深く納得し、数々の名曲を頭に浮かべるに違いない。デビュー・シングル「アンジェリーナ」の発売から45周年となる今年、かつての名曲を“再定義”した新作『HAYABUSA JET 1』をリリースしたばかりの佐野に、新作はもちろん来し方まで徹底的に聞いた。【ライター/神舘和典】

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隼ジェットとは、これまでの佐野元春ではない“もう1人の僕”

 2025年にデビュー45周年イヤーを迎えた佐野元春がエネルギッシュに活動している。3月にアルバム『HAYABUSA JET 1』をリリース。7月からは全国ツアーをスタートする。

 意表を突くのは、昔の少年マンガのようなアルバム・タイトル。佐野元春からイメージしづらい。

「バンドメンバー全員に猛反対されました」

 顔をほころばせて佐野は打ち明ける。

 2020年に佐野はフジテレビ系のバラエティ番組『ダウンタウンなう』にゲスト出演。自分の名前に飽きてきたと発言した。では、どんな名前にしたいのか? ダウンタウンの松本人志がたずねると、少しためらいながら「隼ジェット」と返答。その場は大爆笑に包まれた。

 しかし、佐野本人は大まじめだった。

「次のアルバムは『隼ジェット&THE COYOTE BAND』にしたい」

 そう本気で語ったのだ。

 そもそもなにゆえ“HAYABUSA JET”なのだろう――。

「ずいぶん前から考えていました。“隼ジェット”は、レトロモダンな響きがある」

 レトロモダン――。つまり懐かしさの中に現代を感じる。それがアルバム・タイトルに込められている。

「隼ジェットとは、これまでの佐野元春ではない“もう1人の僕”です。言ってみれば僕のアバター。僕の曲をもう1人の僕が歌ったら曲の響きが違ってくるかもしれない、そう思いました」

 補足すると、“1”は1stのこと。

「このアルバムが売れたら2ndも考えたい(笑)」

 佐野は言う。レコーディングの準備もあるらしい。

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