「隼ジェット」はレトロモダンをイメージした 佐野元春が新作を徹底的に語る【インタビュー・前編】

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“ストリート”を描きたかった

 なぜ街を舞台にした曲が多いのか――。

「東京で生まれ育ったからです。最近はシティ・ポップと言われて70年代の音楽が再評価されています。ただシティ・ポップと呼ばれる音楽にはあまり夢中になれなかった。外から眺めたシティだったからです。それより僕はインサイダーとして“ストリート”を描きたかった。そうして作ったのが最初のアルバム『バック・トゥ・ザ・ストリート』です」

肉体性と知性の共存

 佐野の音楽には、ロックの持つ肉体性と文学に近い知性、正反対とも思える個性が共存する。

「“I love you”“You love me”をテーマにした歌も楽しい。でもそれだけだとつまらない。知性を感じる歌も聴きたい。ただ知的過ぎると楽しくない。もっとスピード感が欲しくなる。僕は肉体性と知性、どちらも感じられるロックをやりたい」

 その思いが『HAYABUSA JET 1』にも込められている。

「ビッグ・スピーカーで聴いても、スマートフォンから流れてきても、楽しめるアルバムになったと思う」

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 後編【「できることを続けていきたい」 佐野元春、45年のキャリアを振り返る】では、10代の頃から始まるソングライティングについて、さらに新しいツアー、これからのことなどを徹底的に語ってくれている。

神舘和典(コウダテ・カズノリ)
ジャーナリスト。1962(昭和37)年東京都生まれ。音楽をはじめ多くの分野で執筆。『不道徳ロック講座』『上原ひろみ サマーレインの彼方』など著書多数。

デイリー新潮編集部

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