「つらい五十肩は自分で治せる」 専門家が指南 「整形外科でやってはいけないコト」とは
湿布や痛み止めは「ごまかしているだけ」
五十肩と診断されると、どのような治療を受けるかご存じの方も多いと思います。大体の場合が、レントゲンを撮って「骨に異常は見られない」と言われる。そして、湿布薬や痛み止めを処方される。また、整体院でマッサージを受けたり、鍼(はり)を打ってもらうこともあるでしょう。実際、このような処置で治る人もいます。
しかし考えてみれば湿布や痛み止めは、一時的に痛みをごまかしているだけです。
整形外科のクリニックにとっても五十肩はどちらかというと“軽い病気”。むしろ緊急を要する骨折や脱臼、捻挫などの治療に重点を置きがちで、「湿布を貼っておけば治る」ぐらいの扱いです。
そんなこともあって五十肩に悩む多くの患者さんは、「決め手」となる治療の効果を感じていません。むしろ、これほど治療法が多いということは、決定的に優れた治療法が、これまで見つかっていないことを意味しているのです。実際に患者さんの声を聞けば、普段の生活に重くのしかかっている病気なのだなということが、私自身クリニックを続けているとよく分かります。
血管と関節炎の関係
これは、五十肩の原因について説明することにもつながるのですが、私はもともと(関節痛を治療する)整形外科が専門の医師ではありませんでした。医学部を出ると大学院(慶應義塾大学)でがんの治療法を研究していました。
具体的にはレントゲンを見ながら血管からカテーテルを通し、患部(がん組織)に薬を届ける治療が専門だったのです。2008年ごろから研究を始め、正常な血管と、がん組織によく見られる血管の違いに関する研究結果は、海外の医学雑誌「ネイチャー・メディスン」にも掲載されています。ところが、この血管の研究をしていたことが、関節炎の治療法の発見につながります。
そもそも血管と関節炎はどんな関係があるのでしょうか。
少し専門的な話をすると、血管には大きく分けて正常なものと、異常なものがあります。正常な血管とは大動脈や冠動脈、手足の先を走る毛細血管などが知られています。血管の中を流れる血液は栄養や酸素などを体中に届け、一方で老廃物を受け取ると静脈から心臓へ戻ってくる。しかし、異常な血管は、本来必要ではないところにできてしまうもので、見た目も整然としていないのです。がん組織などの周囲にもよくできます。
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