「コメ不足」は深刻なのに「ふりかけ」の売上はなぜ過去最高? 業界トップ「丸美屋」が明かした意外な事情

エンタメ

  • ブックマーク

選ばれるふりかけ

「それだけ多くの方に買っていただいております。また、ご家族の皆さんの好みが違っても、価格が安いため全員のお好みが買えてしまうことも強みだと思っております。ふりかけは嗜好品だと思っておりますので、弊社にはふりかけだけで100種類近くがございます」(青木氏)

 パッケージの違いも含めて100種類?

「いえ、基本的には味の違いです。例えば、ご飯に混ぜるおにぎりの素、『混ぜ込みわかめ』シリーズにも20種類以上あります。自分の好みはもちろん、家族の好みを試したり、ご飯の上でやれる楽しさを味わっていただければ」(同)

 丸美屋は来期、売上高687億円を目標に掲げている。ところが、今年の1~2月は「釜めしの素」シリーズが売上を落としたという。丸美屋にもとうとう米価高騰の煽りが?

「そうですね。米価が高騰する中、釜飯は美味しいのでお米をたくさん食べてしまうということがあると思うんです」(同)

 ん?

「釜飯を作るには、お米の量も2合とか3合と多くなりがちです。美味しいからといって貴重なお米を多く使ってしまうのを敬遠されているのではないかと思っています」(同)

 ふりかけも美味いが、炊飯の量まで変えることはまずないだろう。ただ、この状態で来期の目標は達成できるのだろうか。

コロナ禍との違い

「今年に関しては今までにない難しい局面だと思っています。これまで予想もしなかったお米の高騰がありますし、自社で何とかできるものでもありませんから。ただ、危機感を抱いているのは事実ですが、それでもお米の消費はそれほど落ちていないようですし、お米のコスパ、腹持ちの良さがありますので、高騰しているとはいえ皆さんがお米を買わなくなることはないのではと思っております。また、弊社は1つの商品に特化していないところが強みでもあるので、たとえ『釜めしの素』が落ち込んでも、他の商品で補うことは可能だと思っています」(青木氏)

 実際、コロナ禍では、ふりかけの落ち込みを補ったのが釜飯だったという。

「コロナの時はお弁当需要や行楽需要がなかったので、ふりかけが若干厳しいときがありました。でも、逆に在宅の方が増えたことで、1日に3食を作るのが面倒ということもあって『釜めしの素』などが売れたんです」(同)

 スーパーで目にして懐かしい!と手にした人もいただろう。

「そうですね。久しぶりに手に取ろうとしたときに、安心感のあるロングセラーの商品が売れるとはよく言われます。現在、『釜めしの素』や『麻婆豆腐の素』といった商品はコスパ、タイパという部分で、共働きの方が増えている社会情勢にもマッチした商品となっています。誰が作っても美味しくできますし、かつてレトルト商品は“手抜き”というイメージがありましたが、今はよく言われる“手間抜き”ということで重宝されていることもあります」(同)

 ロングセラーといえば「のりたま」だが、久しぶりに食べると玉子の味が濃くなっているように感じたのは気のせいだろうか。

次ページ:丸美屋No.1のふりかけとは

前へ 1 2 3 次へ

[2/3ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。