特攻に向かう飛行機がなく敗戦を迎え…38年後「小説 上杉鷹山」で脚光 「童門冬二さん」歴史小説に込めた思いとは
時代を超えて生きた参考書に
童門冬二さん(本名・太田久行)が『小説 上杉鷹山』を著したのは、1983年、55歳の時だった。米沢藩主の上杉鷹山が窮乏した藩を改革し、再建する姿を描いた作品である。
鷹山は率先して倹約する一方で、必要な投資は惜しまなかった。新田開発を行い特産品を作り、新しい産業を興して藩の財政を立て直す。反対派も多い中、改革実現の見通しを明確に示し、人材の登用や育成を重視する。まず領民の立場を考え心をつかんだ。
バブル経済崩壊後の90年代初めになってから、同書は爆発的に売れ始めた。...

