いま全身を「日本製」で揃えてみようと思ったら… 海外生産を推進した元コンビニバイヤーの後悔

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 かつて私は、ローソンでコンビニのバイヤーを務めていた。そのときにした判断で、未だに後悔していることがある。

 それは、日本製だった衣料品のほとんどを、中国やベトナム、インドネシアなどの海外生産に変えたことだ。もちろん理由は価格が安いから。当時、「安さこそが正義」だと骨身に染み込んでいた私は、目先の利益のために日本製の衣料品を切ったのである。

 国内製を切るということはどういうことか。当然、仕入れのお金は国内企業には渡らず、海外に渡ってしまう。コロナ禍において、中国製に頼っていたマスクが品薄となり、そうしたサプライチェーンの問題が取り沙汰された。マスクに限らず、衣料品や食品も日本は海外製に依存していることが浮き彫りになったことは読者のみなさんの記憶に新しいだろう。

 バイヤー時代の私は、このようなサプライチェーンの問題や国内企業へ配慮するアタマはまったくなかったのだ。そうした贖罪の意識から、近年、私は身につけるものはできる限り、基本的には国内製品にすると決めている。

バブル期には50%超だったのに…

 みなさんも頭のてっぺんから足の先まで日本製品を揃えてみてほしい。これが非常に難しいのだ。そもそも、お店に行っても売っていない。ユニクロなどのファストファッションは、もちろん国内製ではないし、そこそこ有名なブランドでも中国や東南アジアなどの海外製が多い。

 それもそのはずで、日本に供給されている衣料品のうち、国産の割合は激減しているのである。2022年において、国産品の割合はなんと1.5%(日本繊維輸入組合「日本のアパレル市場と輸入品概況2023」)。ちなみに、バブル期の1990年には50.1%もあったというから、その減少ぶりはすさまじい。10年前の2012年でも3.5%であり、割合は年々減少傾向なのだ。

 さらに細かい数字を見てみよう。日本靴下協会によれば、2022年度の靴下の国内生産量は1,432万5,000足。これは2016年に比べて約半数で、直近でも激減が続いている。

 このような国内状況を見ると、全身を国内製品で揃えるのがいかに難しいかがお分かりになるだろう。

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