コーヒー1本9円でなぜ儲けが? 激安ディスカウント店「ジェーソン」のナゾに迫る

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 ちょっと見ないうちに自動販売機の飲料もずいぶん高くなったものだ。帝国データバンクによると、今年は約5000品目の食品が値上げされるという。ところが、探してみれば、世の中の流れに抗うかのように激安路線を堅持している店もある。例えば、ここ――。

 東京都江戸川区にあるディスカウント店。入り口にはペットボトル飲料が段ボールケースごと積まれている。よく見ると、紅茶飲料が29円、それどころかコーヒー飲料が9円だったり、5円という異様な値段の飲料もある。それもあって、カートに何ケースも載せてレジに向かう客まで。飲料のなかには、あと数日で賞味期限が切れてしまうものもあるが、れっきとしたコカ・コーラ社や伊藤園といった大手の商品だ。店の看板を見上げると「ジェーソン」とある。

 流通関係者が言う。

「ジェーソンは千葉や東京、埼玉などに112店舗を展開している老舗のディスカウントチェーンです。同じディスカウント店ではドン・キホーテ(パン・パシフィック・インターナショナルHD)が有名ですが、創業はジェーソンの方が早い。メーカーが持て余した在庫や経営不振に陥った会社の商品を大量に仕入れて売る業者を“バッタ屋”などと言いますが、かつてのドン・キホーテ同様、ジェーソンもそうやって成長してきました」

5円や9円で販売できる理由

 それにしても半額どころか5円や9円の飲料なんて、儲かるのだろうか。

 当のジェーソンに聞いてみると、

「そうしたことにはお答えしておりません」(広報担当者)

 ディスカウントチェーンに詳しい流通ジャーナリストの西川立一氏が解説する。

「ジェーソンの飲料が安いのは、長年培ってきた仕入れのルートがあるからです。わが国では毎年1000種類以上の飲料の新商品が発売されますが、多くがヒットすることなく終わってしまう。倉庫に置かれたまま賞味期限がやってきた在庫は処分するしかありません。もちろん、コストもかかる。そうした品物をまとめて引き取り、チェーン各店で一気に売りさばいてしまうのです。5円や9円の飲料でも、おそらくタダみたいな仕入れ値。安くても儲けは出ているはずです」

 店で買った9円のコーヒー飲料を飲んでみる。自販機で売っているのと同じ味がした。

週刊新潮 2024年3月14日号掲載

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