「新型コロナバブル」で誰が一番トクした? 時代遅れの対策の原因は? 「感染症ムラの利権を守る動きが」

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曖昧な「濃厚接触者」

 濃厚接触者というのも極めて曖昧でした。濃厚接触者の定義は「接触したのが発症2日前以降で、1メートル以内の距離でマスクなしで15分以上話した人」など。でも残念なことに「1メートル以内の距離でマスクなしで15分以上話した人しか感染しない」という科学的根拠はなく、保健所の手間とPCR検査数を減らす方便として使われたに過ぎなかったのです。

 ちなみに「接触8割減の徹底」が打ち出された直後には、すでに中国やアメリカの研究者が、空気中に浮遊する微細な粒子による「エアロゾル感染」の可能性を指摘していました。エアロゾル感染の可能性があるなら「飛沫感染」や「接触感染」を前提とするクラスター対策はなおさら意味をなしません。ところが感染研と厚労省はその後もエアロゾル感染の可能性にふたをし続け、外部の科学者からの公開質問状に促される形で22年3月末にようやくエアロゾル感染の可能性を認めたのです。

 皮肉なことに世界の科学者たちがエアロゾル感染を想定するきっかけとなったのは「ダイヤモンド・プリンセス号」の騒動だったといいます。一方、感染研所長で専門家会議の座長でもあった脇田隆字氏は、当時、早々に「新型コロナは飛沫・接触感染である」と結論付け、エアロゾル感染の可能性を葬り去ってしまったのです。

補助金が目的外に使われた恐れが

〈新型コロナによって「利権」を手にした厚労省や感染研の面々。しかし、コロナで潤ったのはこれら感染症ムラのメンバーだけではなかった。〉

 22年3月まで尾身氏が理事長を務めていた地域医療機能推進機構(JCHO)は、全国で経営する47病院で20年度に約324億円、21年度には約569億円ものコロナ関連補助金を受け取っていました。結果、コロナ禍の2年間で1881億円もの内部留保を築いたのです。JCHOの病院に勤務するある医師は、22年の夏、上司から「必要な備品は何でも申請するように」と声を掛けられたそうで、コロナ関連補助金が目的外に使われた恐れすらあります。

 コロナ関連補助金は国立病院機構にも21年度だけで約1150億円が投入されています。さらに全国の大学病院にも平均して数十億円程度の補助金が注ぎ込まれていたのです。

 このような大病院に期待されていたのは、新型コロナの重症患者の受け入れです。ところが、大学病院を中心とする全国の特定機能病院の受け入れ状況を調べてみると、第3波のピークだった21年1月7日時点で重症患者を10人以上受け入れていたのは85施設中たった6施設。重症化リスクの低いオミクロン株に置き換わってからは大学病院での治療が必要になるような重症患者は大幅に減少しましたが、新型コロナが「2類相当」のまま維持されたため、22年度も多額の補助金が投入され続けました。

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