「新型コロナバブル」で誰が一番トクした? 時代遅れの対策の原因は? 「感染症ムラの利権を守る動きが」

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医系技官の天下り先

 さらにあきれることに、新型コロナが「5類」へ移行すると発表された直後の昨年2月3日、全国医学部長病院長会議は加藤厚労相に対し、診療報酬の臨時特例や新型コロナ補助金の継続を要望しているのです。これでは、医療界が「2類相当」にこだわった背景に補助金の存在があったと指摘されても仕方がありません。

 幹部ポストである「指定職」を経験した医系技官には、退職後、保健所や自治体、医療関係団体、医学部のある大学など“天下り先”が用意されます。そんな医系技官たちに、天下り先になる保健所や大病院の利益と相反する政策を期待すること自体、土台無理な話なのです。

 感染症対策だけでなく医療費の逼迫(ひっぱく)など、医療界には現在もさまざまな問題が山積しています。

 厚労行政について、われわれは抜本的に制度を見直す時期に差し掛かっているのかもしれません。

上 昌広(かみまさひろ)
医学博士、医療ガバナンス研究所理事長。1968年、兵庫県生まれ。内科医。93年東京大学医学部卒。99年同大学院修了。虎の門病院や国立がんセンターで臨床・研究に従事し、東大医科学研究所の特任教授などを経て 2016年より現職。『病院は東京から破綻する』など著書多数。

週刊新潮 2024年2月22日号掲載

特別読物「『PCR抑制』『2類相当維持』の陰に利権が!? 誰が一番得したか “新型コロナバブル”を統括する」より

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