「新型コロナバブル」で誰が一番トクした? 時代遅れの対策の原因は? 「感染症ムラの利権を守る動きが」

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PCR検査が抑制された背景

 20年2月には、厚労大臣だった加藤勝信氏がPCR検査の実施基準を「37度5分以上の発熱が4日以上」と公言しました。ところがこれより前の1月24日には、五大医学雑誌の一つ「ランセット」に「無症状患者」の存在が報告されているのです。この報告以降、各国のコロナ対策はPCR検査によって徹底して無症状患者を見つけ出す方向にシフトしていった。無症状患者がいる以上、有症状者だけを追いかける日本の方法は無意味であり、PCR検査を制限するのは非科学的です。

「37度5分以上が4日間」という基準にも科学的根拠はなく、後に加藤厚労相は方針を撤回。ところが、その後もPCR検査は暗黙のうちに抑制され続けました。21年9月になっても人口1000人当たりの検査数は1.01件と主要先進7カ国で最下位。一番多かった英国の約13分の1でした。

 このように日本でPCR検査が抑制された背景には「PCR検査は精度に問題がある」という間違った認識があります。20年10月には、医系技官のトップである「医務技監」が毎日新聞で退任後のインタビューに応じ、PCR検査について次のように語っています。

〈陽性と結果が出たからといって、本当に感染しているかを意味しない〉

〈感染していないが陽性になった人も結構いるとみられ、本当に感染していても7割か8割しか検出できない。PCR検査は完全ではないということは言っておきたい〉

“感染症ムラ”の利権を守るという動機

 この記事を読んで唖然としたのは私だけではないはずです。なにせ、PCR検査は近年急速に進歩したゲノム医学を活用した検査で、適切に条件を設定すれば、人為的ミスが無い限り偽陽性は生じないのです。それに、私の知る限り、海外でPCR検査の偽陽性が問題視された様子はなく、もし日本で偽陽性が問題になるくらい発生していたのなら、医学雑誌に論文を投稿して国際的に議論をすべきでした。確かに検体を扱い慣れていないスタッフにより人為的ミスが起こることはありますが、それをもって「PCR検査は不正確」と言うのは明らかなミスリード。「偽陽性が出るからPCR検査を抑制する」などというのは暴論であり、このミスリードには何らかの意図を感じてしまいます。私には、そこに“感染症ムラ”の利権を守るという動機があったように思えてならないのです。

 日本の感染症ムラの筆頭といえば、厚生労働省のほか「国立感染症研究所(感染研)」や「東京大学医科学研究所(東大医科研)」「国立国際医療研究センター」などが挙げられます。東大医科研は附属病院とは全くの別組織で、前身は感染研の母体でもある「伝染病研究所」。感染研とは非常に近い関係にあります。専門家会議や分科会のメンバーも必然的に感染症ムラの在籍者やOBで固められました。

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