「新型コロナバブル」で誰が一番トクした? 時代遅れの対策の原因は? 「感染症ムラの利権を守る動きが」

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コロナ禍で予算が急増

 PCR検査が抑制された問題には、感染研が検査を抱え込もうとしたことも深く関係しています。20年1月にはすでにスイスの製薬企業が新型コロナのPCR検査キットを開発し、中国に無償提供していました。ところが、感染研は製造に手間のかかる自家調整の試薬を使った検査法にこだわり、感染研やその傘下にある全国の地方衛生研究所でのみ検査を行う体制を構築しようとしたのです。PCR検査が公費ではなく一般診療になれば感染研が検査に関与できず、研究データや利権も独占できなくなります。感染研の行いは「検査数を自分たちでカバーできる数に制限しようとした」との疑念を抱かせるに十分でした。

 実際、新型コロナの流行は、感染研に大きな利権をもたらします。20年2月に政府の新型コロナ対策本部が決めた緊急対策の「研究開発費」約21億円のうち、感染研には総額約13億円が投入されています。感染研の19年度の予算規模は約60億円で、13億円の追加予算は非常に大きい。それに、感染研の予算は21年度に約106億円、22年度に約99億円と、コロナ禍で急増しているのです。

 さらに特筆すべきは、感染症ムラの研究者たちに配分される研究費です。「結核感染症課」が管理する「新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業」は19年度に総額3億円余りだったのが20年度には10倍以上の約41億円に。これらの研究費は、一応公募の形を取りながら、「拠点」、「モデル事業」など都合のよい解釈により感染症ムラにも配分されるのです。

感染者を犯罪者扱い

〈時代錯誤な新型コロナ対策の象徴としては「クラスター対策」、さらにその前提となった「積極的疫学調査」も挙げられる。〉

「積極的疫学調査」という言葉もすっかり市民権を得ましたが、別に新しい制度ではなく、もともとは感染症法で定められた法定調査です。積極的疫学調査によって感染者の行動をヒアリングし、濃厚接触者に限ってPCR検査を受けさせる。そうして芋づる式に発見された感染者の集団は「クラスター」と呼ばれました。

 クラスター対策を巡っては「8割おじさん」とあだ名された学者も登場しました。厚労省クラスター対策班メンバーのこの学者は、20年4月15日に記者会見を開き、行動制限をしなければ「最悪で約85万人が重篤化し、約42万人が死亡する」との推計結果を発表。国民に「接触8割減の徹底」を求めました。

 確かに、03年に流行した「SARS」など無症状の感染者がほとんどいない感染症であればクラスター対策も意味があります。ところが、新型コロナは前述のとおり無症状者のいる感染症。無症状者はクラスター対策では検出できませんから、この方法は新型コロナには通用しません。

 実は、その頃、現場で問題になっていたのはクラスターではなく「院内感染」でした。8割おじさんの会見当時、国内で死亡した新型コロナ患者のうち4割は病院内か高齢者施設内での感染だったのです。院内感染の対策に「接触8割減の徹底」が意味をなさないのは素人でも分かります。

 もちろん海外でもクラスター対策は行われていました。でもその方法は、感染者と接触した可能性のある人に徹底してPCR検査を行い、陽性者だけを隔離するというもの。日本はPCR検査の対象を「濃厚接触者」だけに限定し、感染者や感染者が立ち寄った飲食店を犯罪者のようにさらすことだけが目的のように見えてしまいました。

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