「浅草4歳次女殺害」5年前の不審死直前に放送された、石原さとみ主演の「法医学ドラマ」に「エチレングリコール」が出てきたのは偶然か

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 東京・浅草でホテルを経営する資産家夫妻が、次女(当時4歳)を殺害した容疑で逮捕された。捜査が大詰めを迎える中、捜査関係者の間で話題になっているドラマが、2018年初頭に放送されたTBSの金曜ドラマ「アンナチュラル」である。

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最終話のハイライトで…

 主演は石原さとみ。脚本は「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS)や「MIU404」(同)などの代表作を持つ野木亜紀子氏がオリジナル作品として書き下ろした。変死体の死因究明を目的とする架空の団体「不自然死究明研究所(UDIラボ)」を舞台とした法医学ミステリーで、石原たちが演じる法医解剖医が様々な遺体と向き合いながら、事件・事故の真相を追求していく。平均視聴率は10%を超え、放送当時は話題になった。

 このドラマの中に「もしかしたら事件と関係あるのでは」と、捜査関係者の間で話題を集めているシーンがあるのだ。

 それは最終話で、井浦新が扮する一匹狼の法医解剖医が連続殺人事件の共犯者を追及する場面。井浦は共犯者にテトロドトキシン(フグ毒)を注射し、「解毒剤が欲しければ犯行の証拠を教えろ」と脅迫する。死の恐怖に駆られた共犯者は井浦から手渡された液体を自ら口にするのだが、そこにはさらなる“トラップ”が仕掛けてあった。

 実は、井浦がフグ毒と言って共犯者に打った注射はただの麻酔で、解毒剤として渡した液体こそが“本物の毒”だったのだ。

 そんな修羅場に間一髪で現れたのが、主人公の石原さとみとアルバイト記録員役の窪田正孝。石原が井浦の暴走を止めようと「何を飲ませたのか教えてください!」と必死に説得する横で、窪田は空き瓶に突っ込んだ指をぺろりと舐め、こう絶叫する。

「甘い……。これってエチレングリコールなんじゃ!」

 この場面のみならず、エチレングリコールは第1話にも登場するなどこのドラマで印象深く使われている毒物なのである。

ホルマリン漬けにされていた「新証拠」

 亡くなった美輝ちゃんの遺体からも、司法解剖の結果、子供が誤飲するはずのないエチレングリコールが検出された。細谷健一(43)、志保(37)両容疑者は逮捕後も容疑を否認し続けているが、夫妻が使用していたパソコン内に、同物質を原料とする「不凍液」を購入した履歴があったことが判明している。

「ドラマでも言われていた通り、エチレングリコールは甘くて水に溶ける。警視庁は夫妻が飲み物に混ぜるなどして美輝ちゃんを殺害したのではないかとみています」(捜査関係者)

 同じ毒物は、2018年に亡くなった健一容疑者の姉・Mさん(当時41歳)の遺体からも検出された。Mさんは18年4月に、美輝ちゃん同様、健一容疑者らが居住するマンションで死亡したが、当時は“事件性なし”と判断。行政解剖に回され、「死因不詳」のまま荼毘に付されていた。だが、美輝ちゃん事件が起きたことで警視庁は再捜査に乗り出した。

「Mさんの臓器の一部は、東京23区で発生した不審死の解剖を担当する医療機関・東京都監察医務院にホルマリン漬けにして保管してあった。それを改めて調べたところ、エチレングリコールの成分が出てきたのです。やはりMさんが亡くなる前にも、夫妻が不凍液を購入していた記録が残っていました」(同)

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