藤井聡太八冠が3連覇に王手 “地上波解説者デビュー”に「将棋小僧なんだな」

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 1月27、28日、藤井聡太八冠(21)の開幕2連勝で迎えた将棋の王将戦七番勝負(主催:毎日新聞社、スポーツニッポン社)の第3局が島根県太田市の国民宿舎さんべ荘で行われた。藤井は94手で挑戦者の菅井竜也八段(31)に勝利し、王将3連覇に王手をかけ、菅井はカド番に追い込まれた。【粟野仁雄/ジャーナリスト】

向かい飛車で応じた菅井

 先手番の菅井が早々に「5六歩」と進めたので、てっきり得意の「中飛車」戦法かと思ったら、飛車を「8八」に振って相手の「居飛車」と向かい合う「向かい飛車」とした。「振り飛車」党の菅井ではあるが、最近は「三間飛車」を選択することが多い。向かい飛車で藤井に挑むのは初めてだ。

 向かい飛車は、攻めてくる相手の居飛先の駒を飛車を参加させてがっちり受ける駒組である。飛車と飛車の間にいた駒が違う筋に動いた瞬間に飛車で飛車を取られる危険がある。

 双方、相手陣に角を成り込ませて角交換ができる格好だが、なかなか交換しない。ABEMAで解説を担当する本田奎六段(26)も「どこで角交換するかがポイント」と話していた。菅井が23手目に自ら「2二角成」と角交換に行った。

急戦模様に…

 第2局の初日の午前中とは違って、じっくりと進む。第2局の初日で痛恨の失着をした菅井が、より慎重になっているようにも見えた。角交換後、後手の藤井が「4四」に角を据えて、菅井の「8八」の飛車を狙う。菅井が「6四角」と角で合わせた。

 菅井は7筋の銀を進めて突破を狙う。藤井が36手目に「7四歩」として、攻めてきた菅井の銀にぶつけてきたあたりから急戦模様になる。

 銀を引くほうが無難に見えたが、菅井はその歩を取り込み前進する。双方、「美濃囲い」だが、菅井の美濃は金が下段にいたままで未完成だったため、その後、自陣の「5七」に容易に角を打ち込まれていた。この角が引いて馬になれば、菅井の攻め駒の銀も動きづらくなるなど、非常によく働いている。藤井が頭に歩を打たれた飛車を7筋に逃がした後の45手目を菅井が封じた。

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