紅白歌合戦 1部も2部も過去最低視聴率で浮き彫りになったNHKの苦しすぎる事情

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昭和期から変化している選考基準

「紅白」に話を戻すと、この番組はそもそも変貌した。昭和期の「紅白」とは似て非なるもの。番組のカギを握る出場歌手の選考基準からして異なる。番組の黄金期だった1986年までは(1)歌唱力 (2)その年に著しい活躍をしたこと (3)大衆の支持――だった。

 最も重点が置かれていたのが「大衆の支持」で、視聴者を対象とするアンケート調査が当落を左右した。また、出場者選定に当たっては有識者と視聴者代表の約10人による「ご意見を伺う会」という諮問会議もあり、ここでも観る側の意向が酌み取られていた。

 今は(1)今年の活躍 (2)世論の支持 (3)番組の企画・演出――。歌唱力は除外された。今年の活躍についてはCDなどの売り上げやネットでのダウンロード数などの実績を見ているという。

 世論の支持については全国調査を行っているが、最も大きいのは番組の企画・演出だろう。制作者の意のままに出場者が決まるように見える。

「紅白」のあるべき姿とは

 伊藤蘭(68)や藤井フミヤたちも番組の企画・演出で決まっただろう。だが、ここで考えてしまう。2人とも実績十分のビッグネームだが、NHKが用意するステージは「紅白」なのだろうか。初出場のMISAMOら6組のK-POPグループたちもそうだ。

 韓国の人口は約5100万人で日本の約半分。音楽市場も小規模だから、日本市場の拡大につながる「紅白」に招かれたら、喜んで出る。一方で日本の若者も歓迎する。しかし、それが国民的歌番組とされる「紅白」のあるべき姿なのか。

 排他的になるつもりはないが、「紅白」に限ると、ブレイク間近の有望アーティストを出場させたり、あるいは歌謡曲枠、演歌枠を広げたりしてもいいのではないか。国内にも実力と人気を兼ね備えた歌手はいる。スピッツなど「紅白」の経験がないアーティストに対し、全力で出演交渉してもいいはずだ。

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