「オマエらの客が注文したから来たんだぞ!」外国人観光客の増加でフードデリバリーサービスのトラブルが多発中 高級ホテルのロビーで繰り広げられる修羅場

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伝わらないプロ意識

 一流ホテルともなると、複数の飲食店が常設されている。だが、大抵の外国人宿泊客は、それなりの日数をホテルで過ごす。数日のうちにホテルのレストランには飽きてしまい、フードデリバリーサービスに頼るようになる。

 ホテルの本音としては、宿泊客が自室に飲食物を持ち込むのと同じように、フードデリバリーサービスの利用を歓迎してはいない。しかし、時代の流れに逆らうわけにもいかない。レストラン部門の売上に悪影響が出るのは分かっていても、宿泊客のサービス利用を容認している。

 お客さまにはできる限りのサービスを行いたいというプロ意識もある。同じ理由から、配達員にも可能な限り寛大な対応を取っている。だが、そうした想いはなかなか伝わらない。結果、全国のホテルでは類似のトラブルが多発し、スタッフは振り回されている。

 もちろん、ホテルの宿泊規約などを抜本的に見直す必要はあるだろう。だが、それは経営陣が考えることであり、スタッフに非は全くない。配達員と外国人宿泊客のバトルに巻き込まれ、毎日のように修羅場を経験している彼らは気の毒としか言いようがない。

藤原良(ふじわら・りょう)
作家・ノンフィクションライター。週刊誌や月刊誌等で、マンガ原作やアウトロー記事を多数執筆。万物斉同の精神で取材や執筆にあたり、主にアウトロー分野のライターとして定評がある。著書に『菱の血判 山口組に隠された最大禁忌』(サイゾー)、『山口組対山口組』、『M資金 欲望の地下資産』(以上、太田出版)など。

デイリー新潮編集部

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