【男子バスケ五輪出場】トム・ホーバス監督が語った「私があえて日本語で指導する」理由

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 W杯でアジア最上位となり、来年のパリ五輪出場権を獲得したバスケットボール男子日本代表。チームを率いるトム・ホーバス監督は、東京五輪では女子バスケットボール日本代表を銀メダルに導いたことでも知られる。選手たちを鼓舞する言葉はどう生み出されるのか。「週刊新潮」では、東京五輪後のホーバス監督にインタビューを行っている。(以下は「週刊新潮」2021年9月30日号からの再掲載です)

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 銀メダルを獲って1カ月以上が経ち、少しずつ「すごいことをした」と思えるようになってきました。当初は、金メダルを目標にしてきたのですごく残念でしたし、最後の試合に負けてオリンピックが終わったこともあり、気分はあまり良くなかったです。しかし、チームのみんながメダルを首にかけていろいろなテレビ番組に出ているのを見たりしているうちに、すごいことを成し遂げたんだとようやく思えてきました。

〈東京五輪最終日の8月8日に行われたバスケットボール女子の決勝。世界ランク10位の日本が挑んだのは、世界ランク1位で五輪6連覇中の“絶対王者”アメリカだった。結果は75-90で敗北。日本代表チームを率いてきたトム・ホーバス監督(54)が目標にしてきた「金メダル」の夢は叶わなかったものの、決勝の舞台までチームを導いた監督の指導力に称賛の声が多く寄せられたのは当然の流れであった。〉

 2017年に代表チームのヘッドコーチ(監督)に就任した時から「東京五輪で金メダルを獲る」と言い続けてきましたが、当初は誰も信じていなかったと思います。選手たちも「え? 金メダルですか?」という感じでした。しかし、17年、アジアカップで優勝し、18年のワールドカップではベルギーに勝ちました。19年にアジアカップで再び優勝し、そこからは「もしかしたら本当に金メダルを獲れるかもしれない」とみんな本気で信じるようになりました。25年間負けなしのアメリカに対し、負けて「悔しい」という気持ちになったのも、それだけ全員が「絶対に勝つ」と信じていたからです。

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