新作「君たちはどう生きるか」は好スタートも……今後のスタジオジブリに5つの不安材料
その2 豪華過ぎる声優&歌手頼み
公開初日に声優陣&主題歌が発表された。主人公の少年は売り出し中の俳優・山時聡真(18)だったが、その脇を固めるのが山時の事務所の先輩の菅田将暉(30)&木村佳乃(47)、木村拓哉(50)、柴咲コウ(41)、歌手のあいみょん(28)小林薫(71)、大竹しのぶ(66)ら。木村拓哉、小林のような、かつてジブリ映画で声優を務めた役者も複数いるが、実写映画が撮れそうな豪華な顔触れだ。そして、主題歌はシンガー・ソングライターの米津玄師(32)の「地球儀」が起用された。
初期のジブリ映画「となりのトトロ」(1988年)、「もののけ姫」(97年)、「千と千尋」辺りまでは本職の声優がメインだった、その後の作品では徐々に声優をつとめる芸能人の数が増加。これまで主題歌に起用された歌手の中で米津は最も“旬”の歌手だ。
「顔も名前も知れ渡っている芸能人ばかりを起用。観客には、そのキャラクターよりも芸能人の顔が浮かんでしまう人もいるのでは。そのせいでストーリーに集中しづらい人もいるはずで、純粋にストーリーで見せるのならば本職の声優がメインの起用もありだったと思います。今や、名前の売れている声優でもジブリ作品は狭き門になってしまった」(アニメ業界誌記者)
起用された芸能人と米津のファンは、少なからず劇場に足を運んでいるはずだが……。
その3 “心の支え”の死去
ジブリの創業時から宮崎監督との“2トップ”で製作を担っていたのが、18年4月に82歳で亡くなった高畑勲さんだった。
もともと宮崎監督は、高畑さんがアニメ製作のキャリアをスタートした東映動画時代の後輩で、長年にわたって共に作品を作ってきた盟友だった。宮崎監督作品のアニメ映画「風の谷のナウシカ」(84年)のプロデューサーを務め、翌年のジブリの設立に参画。「火垂の墓」(88年)、「おもひでぽろぽろ」(91年)、「かぐや姫の物語」(13年)などで監督を務め、晩年は宮崎監督と二人三脚で作品を製作することはなくなっていた。
「宮崎監督は先輩の高畑さんから演出面や仕事に取り組む姿勢など、たくさんのことを学んだと、インタビューなどで語っていました。一緒に映画を製作することはなくても、大きな“心の支え”の一つで、高畑さんが亡くなったことによる喪失感は埋められないのでは」(映画業界関係者)
高畑さんが生きていたら、「君たちはどう生きるか?」をどう評価しただろうか。
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