「あと10分歩けば寿命が9カ月延びる」 専門家が教えるウオーキングの適正歩数とは?

ドクター新潮 ライフ

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 行楽日和に書を捨てて町へ出る。心地よい風に吹かれてのウオーキングが健康増進に役立つのは間違いない。とはいえ、どれくらい歩けば「目標」は達成できるのか……。世界初の研究調査で分かった、死亡リスク低減のための「適正歩数」と「歩きの哲学」。

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 新緑が鮮やかさを増し、爽やかな空気に誘われて外へと足を踏み出す。体を動かすのには最高の季節となりつつある。

 とはいえ、体力が有り余る若者ならいざ知らず、齢(よわい)を重ね腰が重くなった中高年に、毎日のジョギングや日々の筋トレを求めるのは酷というもの。風薫る季節に適度な散策といったところが現実的な線であろう。

 ウオーキング。これであれば、極度の怠け者でもない限り、さほど無理なく挑戦できる。家に閉じこもっているのはいかにももったいなく、少しでも歩いたほうが健康にいいであろうことは容易に想像がつく。

「ウオーキング」というよりも「歩行」

 そこで素朴にして根本的な疑問が生じる。果たして、一体何歩歩けばいいのだろうか――。

「ウオーキングというと、スニーカーなどを履(は)いて外でしっかりと歩くことだけをイメージし、構えてしまうかもしれませんが、もっと広く捉えてください」

 こう説明するのは、早稲田大学スポーツ科学学術院の宮地元彦教授(身体教育学・スポーツ科学)だ。

「ちょっと近所に買い物に出かけるのも、家の中でリビングからトイレに移動するのも、“足を使って歩いている”という意味では、ウオーキングと変わらず、同じ『歩数』としてカウントできます。適切な歩数を考える上では、『ウオーキング』よりも『歩行』という言葉のほうが理解しやすいかもしれません」

 同院の渡邉大輝(だいき)助教(疫学・公衆衛生学)が続ける。

「ウオーキング・歩行は、誰もが簡単に『自分がどれだけ動いたか』を測れる点で、最も手軽な身体活動といえると思います。中強度の運動を何分間やったほうがいい、高強度の運動をこれくらいしたほうが健康によいと言われても、一般の方には何が中強度で高強度なのか分かりにくい。一方、歩数であれば今の時代、スマホのアプリですぐに把握できます」

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