【高橋幸宏さんを偲ぶ】ピーター・バラカンがジャパン・タイムズの追悼記事に驚いた理由

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「本当のところ、YMOは最初の頃、あまり好きじゃなかった」──これがピーター・バラカンさん(71)の発言だと知れば、驚く人もいるかもしれない。1月15日から16日にかけ主要メディアは相次いで、高橋幸宏さん(享年70)が死去したと報じた。(全2回目の1回目)

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 高橋さんは1月11日午前5時59分、脳腫瘍により併発した誤嚥(ごえん)性肺炎で亡くなった。近親者のみで葬儀が営まれた後、15日に所属事務所が発表した。

 ミュージシャン、ファッション・デザイナー、文筆家、俳優……高橋さんは、まさにマルチな才能を発揮してきた。しかし、やはり多くの人にとっては「YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)」のドラマーとしてのイメージが強いだろう。

 YMOは細野晴臣さん(75)、坂本龍一さん(71)、そして高橋さんの3人によって結成され、1978年11月にデビューアルバム「YELLOW MAGIC ORCHESTRA(イエロー・マジック・オーケストラ)」をリリースした。

 一方のバラカンさんは、1980年から数年間、YMOのメンバー、中でも高橋さんと密接な関係を持った。

 高橋さんの逝去が発表された1月15日、バラカンさんは自身がDJを務めるラジオ番組「Barakan Beat」(InterFM・日曜・18:00〜21:00)で訃報を伝え、その死を悼んだ。放送内容は日刊スポーツが電子版で報じるなど注目を集めた(註1)。

 近年、バラカンさんは、高橋さんの体調を心配していたという。というのも、高橋さんが2020年に脳腫瘍の手術を受けていたからだ。

最後のツイート

 2021年6月、高橋さんはTwitterに《今日、定期検診。まんまと嫌な予感が当たり、僕はまた別の治療始めます》と投稿。翌22年2月にも自宅で転倒して救急車で運ばれたとツイートし、ファンも健康状態を心配していた。バラカンさんが言う。

「幸宏はずっと軽井沢にいたので、会うことはありませんでした。『うまく治るといいな』と願いながらも、あまり容体が良くないと分かっていました。でも、ある時期まではTwitterへの投稿を続けていましたから、幸宏が撮った犬の写真などを見ながら、『頑張っているな』、『じっくり療養しているな』とも思っていたんです」

 22年6月7日には《みんな、本当にありがとう。 from ユキヒロ》という一文と、頬杖をつく自身の写真などを投稿した。高橋さんの70歳の誕生日の翌日であり、これが最後のツイートとなった。

「ものすごくやつれた姿を見て、途端に『あ、これはダメだ』と確信しました。あの写真を公開したということは、恐らく自分でも分かっていたんじゃないかと思うんです。『それは違う』と言う人もいるかもしれないけれど、少なくとも僕はあの時、『これは残念なことになった』と受け止めました」

 9月には「高橋幸宏50周年記念ライヴ」が開催されたが、高橋さんは出演を断念。親交のある多くのミュージシャンが出演し、高橋さんの回復を祈った。

「ライブの欠席が発表され、『かなり深刻だな』と考えました。ですから心の準備はできていました。死去は所属事務所の発表前、知人からの連絡で知りましたが、『とても残念だ』と思ったし、非常に悲しい気持ちになったけれど、覚悟していたので驚きはなかったですね」

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