少女の遺体に“わいせつ行為”、有罪判決の葬儀場職員は「ここまで話が大きくなるとは」「スマホを返して」…反省なき言動に遺族は激怒

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「子供の写真が入ってるんで」

 法廷で裁判官は尋ねた。

裁判官:「あなたの“話が大きくなる”とは、どういう意味ですか?」
被告:「盗撮自体の犯罪で、ここまで大勢の方に迷惑をかけるという認識を持ってなかった……」
裁判官:「そうなることが分からないんですか?」
被告:「……やってるときは、そこまで考えてなかった」

裁判官:「スマホを返してもらうつもりなんですか? また使おうと思ってるんですか?」
被告:「そのつもりです。それ自体は便利だから……」
裁判官:「こういう事件を起こして、話が大きくなって、裁判にもなって、それで犯行に使った携帯電話をまた使う。抵抗はないんですか?」
被告:「……言われてみれば抵抗はありますが、子供の写真が入ってるんで」

「どんな気持ちで私たちのこと見てたんだよ!」

 篠塚被告はなんと“自分の子供の写真を手元に持っておきたい”という理由で、女性の遺体へのわいせつ動画が収められたスマホの返還を求め続けていたのだ。

「ここまで話が大きくなると思ってなかった」と繰り返した篠塚被告は、かつて勤務していた葬儀場にも、心痛の癒えないご遺族にも、全く連絡を取っていないという。お詫びがなされぬまま迎えた判決では、「扶養すべき妻子がおり、妻が今後の指導監督を約束している」などといった事情から、4年の執行猶予が付された。

 こうして閉廷となったとき、篠塚被告が決して視線を向けない傍聴席から怒号が飛んだ。

「篠塚! あんなことをして、どんな気持ちであのとき私たちのこと見てたんだよ!」

 遺族が立ち上がり、震えながら叫ぶなか、篠塚貴彦は遺族に目を向けないまま、弁護人に伴われ、足早に法廷から消えた。

 盗撮被害に遭った者たちが不安な気持ちになることも顧みず「自分の子供の写真」を取り返すために、スマホの返却を求め続けた篠塚被告。その大事な子供たちが、今の姿を見てどう思うだろうか。

高橋ユキ(たかはし・ゆき)
ノンフィクションライター。福岡県出身。2006年『霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記』でデビュー。裁判傍聴を中心に事件記事を執筆。著書に『木嶋佳苗 危険な愛の奥義』『木嶋佳苗劇場』(共著)、『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』、『逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白』など。

デイリー新潮編集部

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