職場の派遣女子に熱を上げたら「地獄でしたね」 42歳不倫夫が1日で味わった“2つの修羅場”

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 不倫がバレて離婚騒動となるのは、それほど珍しい話ではない。その後、不倫相手と別れて夫婦関係を再構築しようとするも失敗、あっさり離婚成立となることもあれば、すべてが滞って泥沼不倫に泥沼離婚が重なって身動きがとれなくなってしまうこともある。

 直近2021年では、全国で18万4,384件の離婚が成立した。そのうち、いわゆる離婚裁判で成立したのは4,689件。割合にしてだいたい2.5%だ(参考:人口動態統計)。

 一般論として、話し合いで解決しなかったために裁判に至るわけだから、そこに至るには大なり小なりの“修羅場”がある。男女問題を30年近く取材してきた『不倫の恋で苦しむ男たち』などの著作があるライターの亀山早苗氏が今回取材したのは、修羅場を重ね、問題がこじれにこじれたケースだ。

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 川中優也さん(42歳・仮名=以下同)は、この3年半、不倫と離婚が重なって「ドツボにはまったような日々」を送っているという。いろいろなものを引きずりながら生きている感覚が強く、精神的に早くすっきりしたいと思いながらも整理しきれずにいると語る。会うと確かに顔色があまりよくないし、表情に精彩がなかった。それでも一時期よりはマシになったんですと少しだけ笑った。

 優也さんが結婚したのは29歳のとき。相手は同じ会社の2年後輩である美希子さんだった。

「社内に写真サークルがあって、僕も彼女もそこに所属していたんです。僕も写真好きですが、美希子は高校時代から写真部にいたとかで、カメラにも詳しかった。お父さんの影響みたいですね。ごくごく普通の女性だったし、そこがよかった。だから結婚前提でつきあい、1年ほどで決めました。社内恋愛だったからずるずるつきあう気はなかったんです」

 30歳のときに長男が、33歳のときに長女が産まれた。妻は第二子を出産したあと退職したが、パソコンにも詳しかったので、家でできる仕事をしながら家計を助けてくれた。

「生活力があるんですよね、彼女。どんなときにもきちんと自分で稼いでいた。もちろん子どものめんどうを見ながら稼げる額は知れてますが、もしフルタイムでしっかり働いていたら僕よりずっと出世したかもしれない」

 ただ、美希子さんは仕事より子どもを選んだ。はっきりと自分でもそう言った。だから子育てに明け暮れているときも、愚痴や文句を口にはしなかった。

「むしろ、あなたは子どもがつかまり立ちしたときも、最初の一歩を踏み出したときもリアルタイムで見られなかったのよね、かわいそうだと思うと言っていました。言われてみればそうだよなあ、せっかく子どもが産まれたのに日々、成長していく姿をずっと見ているわけにはいかないのが男親なんだなあと思ったりしていました」

 何もかもうまくいっていた。優也さんは「家庭は家庭、外で恋愛したい」と思うタイプではなかったし、社内で不倫の噂を聞いても、そんなめんどうなことをよくやる気になるなあと客観的に引いてしまうところがあった。

 それなのに、何かが落ちてきたのだ。不意に頭の上に。それが5年前、長男が小学校に入学したころだった。長年の取材の経験でいえば、子どもが成長して一段落したときが、男女ともに不倫に陥りやすい時期である。まだ子育ては続くが、ほんの少しホッとするころなのだろう。そこに恋心がつけ込んでくるものなのだ。

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