「愛媛農業アイドル自殺訴訟」勝訴した社長が語る「テレビ報道」への疑問 「なぜ『ミヤネ屋』は判決を報道しないのか」

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「辞めるなら1億円払え」。4年前、ワイドショーで連日取り上げられたこのセリフを覚えているだろうか。愛媛県でご当地アイドルとして活動していた少女(当時16歳)に対して、所属事務所の社長が言い放ったとされる言葉である。少女は自殺。2018年10月、遺族は「事務所のパワハラが自殺の原因」として約9200万円の損害賠償を求めて社長らを提訴した。12月21日、この裁判の控訴審判決が出たが、一審に続き「パワハラは認められない」とする被告の全面勝訴。「1億円発言はなかった」と2度も法廷で認定されたのだ。だが、当時大々的に報じたテレビは、この結末について沈黙し続けている。

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始まりは「文春砲」だった

 世間では風化しつつあるが、「愛の葉Girls(えのはガールズ)」の元所属事務所「hプロジェクト」社長の佐々木貴浩氏(54)は、当時のバッシング報道を忘れることはない。

「テレビで事実が捻じ曲げられて伝えられ、私が“悪者”になっていくんです。『遺族側の主張によると』という断りを免罪符のようにして、先方にとって都合のいいストーリーが垂れ流されていく。個人の力では抗えない大きな力を前に、なすすべがありませんでした。今でもフラッシュバックすることがあります」

 2018年3月、「愛の葉Girls」の中心メンバーだった大本萌景(おおもと・ほのか)さんが、自宅で自ら命を絶った。最初にこの問題を報じたのは文春オンラインだ。

 5月19日に「母親が告白 農業アイドルだった大本萌景さん(16)は、なぜ自殺しなければならなかったのか」 というタイトルの記事を配信。萌景さんが友人に自殺する直前、「辞めるなら1億円払うよう社長に言われた」と話していたなど、事務所側のパワハラが原因で娘が自殺したとする母親の主張を5ページにわたり掲載した。一方、佐々木氏の言い分は5行だけだった。

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