「愛媛農業アイドル自殺訴訟」勝訴した社長が語る「テレビ報道」への疑問 「なぜ『ミヤネ屋』は判決を報道しないのか」

国内 社会

  • ブックマーク

洪水のようなワイドショー報道

 佐々木氏は「ここまではまだ看過できた」と振り返る。

「悪夢が始まったのはそれから5カ月後の10月11日、遺族が約9200万円の損害賠償を求めて、私たちを訴える記者会見を東京で開いた時からでした」

 ワイドショーを中心にテレビ各局が堰を切ったように動き出した。日本テレビ系列「情報ライブ ミヤネ屋」、「スッキリ」、テレビ朝日系列「グッド!モーニング」、フジテレビ系列「めざましテレビ」、「直撃LIVE グッディ!」、TBS系列「ひるおび」、「ビビット」、「あさチャン!」。報道番組も、NHK「おはよう日本」、テレビ朝日系列「報道ステーション」、「ANNスーパーJチャンネル」、日本テレビ系列「news every.」……。

 会見が行われた11日と翌12日、テレビは「農業アイドル自殺」一色だったと言っても過言ではない。週末までの数日間、報道は続いた。

「提訴会見は突然のことだったので、私たちが取材対応できたのは会見が行われた日の夕方でした。ただ、この時にはすでにワイドショー報道は始まっており、『かわいそうな遺族』『悪徳社長』という印象が世間に植え付けられていた。翌日から、私の反論も報じてもらえるようにはなったものの、後の祭りでした」

SNSで拡散された「人殺し」

 佐々木氏はバッシング報道が起きた背景として、「相手方の弁護士の存在が大きかった」と振り返る。

「会見で弁護士が自信満々に、『1億円発言』が事実としてあったかのように訴えたわけです。記者さんたちも、まさか弁護士がファクトを捻じ曲げるとは思わなかったのでしょう。アイドルの労働環境という観点からも注目のニュースになってしまった」

 当時、佐々木氏は混乱のなか、テレビ画面に“悪人”として映し出される自分の顔を呆然と見ていたという。

「画面に私の顔がアップで映り、『事務所を辞めるのであれば1億円支払え』というドスの効いた男性の声のナレーションが流れている。他にも、スタッフが長時間労働になってしまった日もあったと伝えたつもりだったのに、『アイドルの過重労働を認めた』と勝手に編集されてしまい……。スタジオで専門家に『これは昭和のやり方だ』などと批判されてしまいました」

 テレビの影響力は凄まじく、事務所には全国から批判の電話が殺到。電話線を抜かなければ業務ができない状況に陥った。ネットにも波及し、SNSでは「パワハラ社長」「人殺し」というワードと共に佐々木氏の顔写真が拡散されていった。

「毎日、死を考えました。私だけならばまだ耐えられるんですが、従業員、愛の葉メンバー、メンバーの親御さん、子供、取引先、みんなに多大な迷惑をかけてしまっているんです。細胞の一つひとつが壊れていくような感覚に陥りました」

次ページ:「お父さんは悪者なの?」息子が流した大粒の涙

前へ 1 2 3 4 5 次へ

[2/5ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。