「カスハラ」の7割以上が男性だった!50代以上で顕著に 昭和・平成の“金銭要求系”のクレーマーとの一番の違いは?

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7割が50代以上の男性

 この仮説を後押しするのが、カスハラをする人に「50代以上の男性」が多いという事実だ。UAゼンセンが20年に実施した調査でも、迷惑行為をしてきた客のうち74.8%が男性で、推定年代として50代が30.8%と最も多く、60代が28.0%、70代以上が11.5%で、およそ7割を「50代以上の男性」が占めている。これは非常に興味深い結果だ。この「50代」というのは実はコロナ禍で最もストレスを感じている世代だからだ。

 リサーチ会社インテージが21年5月、15歳から79歳までを対象に、コロナ前(19年)とコロナ禍(21年)のストレス実態の比較をしたところ、「ストレスをよく感じる」と回答した人は20代が1.1ポイント増、30代は6.1ポイント増なのに対して50代は14.2ポイント増で、コロナ前と比べなんと2.4倍にまで膨れ上がっていた。

 そんな「疲弊する50代」を象徴するのが「自殺」だ。厚労省と警察庁の「令和3年中における自殺の状況」によれば、前年に比べて20代、40代などの自殺も増加したが、とりわけ「50代が最も大きく増加」したという。日本の自殺者の傾向は、女性より男性の方が約2倍多い。つまり、コロナ禍で50代男性の自殺が増えている可能性が高いのだ。こんなにもストレスの多い50代男性が、そこかしこで店員や従業員に嫌がらせをしていると聞けば、「ストレス発散」という言葉が浮かぶのは当然だろう。

「安易に謝ってはいけない」は本当か

 では、コロナ禍が招いたギスギス社会の中で、中高年男性にとって格好のストレス発散の手段となっている「カスハラ」に、我々はどうやって対処していくべきなのか。

 巷には、さまざまなカスハラ対策が唱えられているが、実はその中には誤ったものも多い。その代表が、「安易に謝ってはいけない」だ。これは昭和・平成のモンスタークレーマー対策では半ば「常識」として語られていたもので、相手の迫力に押されて反射的に謝ってしまうと、つけあがって要求がエスカレートするという理由からだ。

 ただ、先ほども説明したように、令和の時代にカスハラをする人は「条件闘争」をするわけではないので、このような駆け引きは無意味だ。むしろ、相手の怒りに火をつけて、事態を悪化させることの方が多い。報道対策アドバイザーとして、この手の問題の対応にもあたる筆者の経験を基に、ご説明しよう。

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