野口みずきが明かす“一生の宝物”とは 小柄で内向的な少女がメダリストになった軌跡(小林信也)

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「私は内向的な性格で、今みたいに人前で喋る自分は考えられませんでした」

 野口みずきが言う。

「小学生の頃は絵を描くのが好きで、イラストレーターになるのが夢でした」

 絵はいまも大切な趣味だ。飼っている猫と犬がじゃれ合う光景などを描き、インスタグラムに上げている。

「中学でどの部活にしようか悩んでいた時、陸上部に入った親友に誘われたのがきっかけです。最初は短距離で、中1の秋、長距離に変わりました。中学では三重県で7、8番くらい。自分はそれくらいの選手だと、何となく思っていました」

 ところが、見る人は見ていてくれた。体は小さいけれどダイナミックで、絶対に人の後について走らない。積極的な野口の走りに将来性を感じた中学の校長先生が、陸上の強い宇治山田商に推薦してくれたのだ。

「私は運が良かったのだと思います。いい指導者に恵まれて、それほど苦労せず、敷かれたレールの上にうまいこと乗って来られた。

 中学時代は動きづくりが中心で、高校では筋トレもガッツリやりました。おかげで高校では1番で走れるようになりました」

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