「力道山が刺された直後に私に放った言葉は…」 現場となった「ニューラテンクォーター」元社長が真相を語る

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山口組の営業妨害

山本 後日、小林会長が菅谷組長に一席設けて事は収まったと聞きました。菅谷組長は店の中で暴れることはせず、その辺はきちんとわきまえていた方でした。

生島 山口組といえば、店の入り口に土嚢を積んでバリケードにして営業妨害をしたこともあったそうですね。

山本 彼らは当時、東京進出を図っていて、ニューラテンクォーターの裏に誰がいるのかを知りたかったのです。嫌がらせをすれば、本当のバックが出てくる。私が困って小林会長に連絡すると、幹部が若い衆を連れて来てくれた。それで相手も住吉連合の小林会長がいると知って引き上げて行きました。

トイレ前で事件は起きた

生島 きらびやかなショーの裏側では、いろいろな出来事があった。でも何といっても衝撃的なのは、力道山の刺殺事件です。当時、事件の目撃者はいないことになっていましたが、実は山本さんは目撃されていたそうですね。

山本 私の目の前で起こりました。でも警察には現場を見ていないと証言しました。少しでも対応を間違えれば、営業停止になるかもしれないし、闇の世界の住人の恨みを買って店を潰されるかもしれない。店を守るためには沈黙することが必要でした。

生島 昭和38年12月8日のことでした。どんな光景をご覧になったのですか。

山本 その日は日曜日で、比較的暇な一日になるはずでした。力道山が来店したのは、夜遅くになってからです。力道山は常連客でしたが、酒癖が悪かった。でもその日はさほど乱れておらず、上機嫌で酒をあおり続け、ホステスとダンスを踊ったりしていました。そして夜11時を過ぎたころ、力道山が洗面所に立ったんです。私もすぐ後を追いかけました。というのは、大切なお客様にはいつも洗面所前のホールで待ち構え、あいさつをすることにしていたからです。

生島 その時、山本さんは力道山がトイレから出て来るのを待っていた。

山本 ホールの椅子に腰掛けて待っていると、不意に黒い影が通り過ぎました。大きな男です。その男が、洗面所から出て来る力道山と鉢合わせする形になり、お互いに道を譲り合っているかのように揺れ動きました。そして突然、力道山の両手が男の胸のあたりを突いて、男は2、3メートル吹っ飛ばされた。

生島 何か言い争いがあったのですか。

山本 二人とも無言でした。尻もちをついた男は、怯むことなく力道山に飛びかかっていきました。二人は組み合ったまま、力道山が上になったのですが、やがて下になった男が力道山を撥ね上げ、力道山が床にへたりこんだ。中腰になった男の手にはナイフが光っていました。男の取り出したナイフが、力道山の腹部に刺さったんですね。

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