餃子の王将事件 大学中退「田中幸雄容疑者」はヒットマンというよりテロリスト 臭う“反権力の思想”

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「暴力団としては珍しい経歴だ」──「餃子の王将」社長射殺事件で、京都府警は10月28日、殺人などの疑いで田中幸雄容疑者を逮捕した。田中容疑者は特定危険指定暴力団「工藤会」(本部・福岡県北九州市)系の組幹部。冒頭に紹介したコメントは、朝日新聞が連載記事に掲載した《関係者》による容疑者の人物評だ。

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 事件は2013年12月に発生した。「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東隆行さん(当時72)に4発の弾丸が命中したのだ。

 午前5時45分ごろ、京都市山科区の王将本社ビル前の駐車場で、大東さんは被弾した。普段から早朝に車で本社に向かっていたことから、犯人は出勤時間を把握している可能性が指摘されていた。

 事件から9年が経ち、遂に容疑者が逮捕された。

 朝日新聞は10月29日から「急転『王将』事件」の連載をスタート。30日には「異色の経歴、口堅い容疑者 過去の事件、組織で集めた信用」との記事を掲載、田中容疑者の実像を追った。

 田中容疑者の経歴のどこが珍しいのか、記事の該当部分を引用させていただく。

《関係者によると、田中容疑者は東京都内の大学を中退後、旅行会社などに勤務し、主に関西地方で働いていたという》

《その後、工藤会の傘下組織を紹介され、構成員になったとされる。2013年の事件当時、工藤会で主要組織の幹部だったという》

30代まで会社員

 週刊文春も田中容疑者の経歴に焦点を当てた。11月10日号には特集記事「『王将』社長射殺《全内幕》捜査線上の元会社幹部」が掲載された。該当部分を引用させていただく。

《「田中は暴力団組員としては極めて異色の経歴の持ち主です。福岡県大牟田市の出身で、地元の県立大牟田北高校を卒業後、青山学院大学に進んだとされます。その後、大学を中退し、33歳まで関西の旅行会社や運送会社などの職を転々としながらもサラリーマン生活を送っていました」(捜査関係者)》

 田中容疑者は紛れもなく堅気だった。どんな経緯でヤクザになったのか。週刊文春も引用したが、月刊誌「実話時代」(三和出版)の2009年8月号に田中容疑者のインタビュー記事が掲載されている。

 取材に対し田中容疑者は、金融関係のサラリーマンだった際にトラブルに巻き込まれ、工藤会の傘下組織に助けてもらったことが縁となって組員になったという。

 工藤会は福岡県北九州市に本部を置き、一般市民や企業に対しても、銃撃などの凶暴な暴力行為を辞さなかったことで悪名を轟かせてきた。全国で初めて「特定危険指定暴力団」に指定されたことでも知られる。

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