餃子の王将事件 大学中退「田中幸雄容疑者」はヒットマンというよりテロリスト 臭う“反権力の思想”

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「ゴルゴ13」

 古典的な襲撃事件では「自分たちの組に正義がある」というアピールも重視されていた。先に「正面から襲撃する必要」について触れたが、「警察に逮捕されることを前提に行動する」ことも少なくなかった。

「襲撃事件を起こしても、簡単に逮捕者が出れば世論の反発が減るという計算もありました。ところが田中容疑者の場合、オートバイで現場から逃走するなど、絶対に捕まらないよう入念な計画を立てています。ヒットマンというより、『ゴルゴ13』のようなスナイパーのつもりで行動したのではないでしょうか」(同・藤原氏)

 藤原氏は田中容疑者の行動から、「反権力」という言葉が浮かんだという。

「完全な一般人を襲撃するというのは、普通の組員なら躊躇しても不思議ではないでしょう。しかし、田中容疑者は実際に犯行に及んだわけです。思うに田中容疑者は、経済界で活躍する人々を襲うという計画に、ある種の“意義”を見出し、前のめりになったのかもしれません」(同・藤原氏)

 もし田中容疑者が70年代の大学に通っていたら──藤原氏は、そんなことも脳裏に思い描いたそうだ。

「彼が70年代の大学生だったなら、過激な左派セクトに入り、企業を相手にテロ事件を起こしていたのではないかと考えたのです。もちろん単なる想像ですが、そんなイメージが浮かんでしまったほど、田中容疑者は古典的な組員と全く違うタイプの人間なのだと思います」(同・藤原氏)

註:王将社長射殺:王将社長射殺 きょう逮捕 殺人容疑 工藤会系組幹部 京都府警(毎日新聞西部夕刊・2022年10月28日)

デイリー新潮編集部

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